全6805文字
PR

Linuxを本格的に使い始めると、最初から入っている標準アプリでは機能的に不足していたり、実現できなかったりすることに必ず直面することになるでしょう。そんなときは自分のやりたいことを満たせるアプリを探して追加してみましょう。このPart3では、無数にある魅力的なLinuxアプリを自在に導入するための方法を詳しく紹介します。

 Linuxの大きな魅力の一つに、ほとんどが無料で提供されている膨大なアプリの中から、好きなアプリを自由に選んで利用できることが挙げられます。同じUbuntuを使っていても、どんなアプリを選ぶかでデスクトップの使い勝手は大きく変わります。Part2で紹介したように、Microsoft社は近年、EdgeやPowerShellなどLinux向けにも多くのアプリをリリースしています。また、次のPart4で解説するように、Windowsの人気アプリやその代替となるアプリもLinuxにはそろっています。そうしたアプリを導入すれば、慣れ親しんだWindowsデスクトップとほとんど同じ環境をUbuntu上に構築することも可能です。

 いずれにせよ、標準で入っていないアプリを使うにはインストールをはじめとする導入のための作業が必要です。そこでこのPart3では、Ubuntuへのアプリの導入方法について詳しく見ていきましょう。自分好みのアプリを探して自在に導入できるようになれば、Linuxの世界が一気に広がります。

アプリストアからの導入が主流

 Windowsの場合、新たにアプリをインストールしたいときには「.exe」や「.msi」といった拡張子が付いたインストーラー(ファイル)をダウンロードし、これを実行してインストールする方法が一般的です。最近は、Windowsにも「Microsoft Store」というアプリストアが用意されており(図1)、ここからインストールするアプリも増えつつありますが、まだ主流ではありません。

図1 Microsoft Store
図1 Microsoft Store
[画像のクリックで拡大表示]

 一方、Ubuntuの場合、インストーラー経由でのインストールは主流ではなく、特にデスクトップでは多くの場合、アプリストア「Ubuntu Software」(図2)経由でインストールするのが一般的です。

図2 Ubuntu Software
図2 Ubuntu Software
[画像のクリックで拡大表示]

 両アプリストアを比べると、Microsoft Storeはアプリの配布だけでなく動画の配信などにも使われているのに対して、Ubuntu Softwareはアプリの配布のみで、アプリの分類方法も異なるといった違いがあります。しかし、アプリストアとしての使用感そのものは大差ありません。WindowsでMicrosoft Storeを使ったことがある人なら、Ubuntu Softwareもすんなり使えるでしょう。

「パッケージ」でアプリを管理

 Ubuntuでは、個々のアプリを「パッケージ」という単位で管理しています。パッケージには、そのアプリを動かすのに必要となる各種プログラムやデータ、設定情報などが格納されています。

 パッケージを管理する仕組み(パッケージシステム)はさまざまありますが、Ubuntu Softwareは「Debianパッケージ」と「Snapパッケージ」という2種類のパッケージシステムに対応しています。Debianパッケージについては、パッケージの貯蔵庫に当たる「リポジトリー」の追加も可能です*1。そのほか、Ubuntu Softwareでは対応していませんが、「Flatpak」というパッケージシステムもあり、Snapパッケージと人気を二分しています*2

*1 一方、SnapパッケージはUbuntu開発元である英Canonical社が用意しているリポジトリーだけを使う仕組みになっており、追加することはできません。
*2 Ubuntuでも追加でパッケージシステムを導入することによりFlatpakパッケージを扱うことが可能ですが、本特集では割愛します。

 Debianパッケージは、Ubuntuの根幹となるパッケージシステムで、現在のUbuntu(システム)はこのDebianパッケージで構成されています。実は、Snapパッケージシステムを動作させるための基本的なデーモン(システム内部で常時稼働するプログラム)も、このDebianパッケージとして提供されています。

 前述の通り、Debianパッケージではリポジトリーを追加できます。リポジトリーは誰でもインターネット上に用意して提供できます。実際にUbuntuでは、「PPA」(Personal Package Archives)というアカウントを取得することにより、公開可能なリポジトリーを簡単に作成できます。PPAを使わず、自前でリポジトリーを用意することも可能です。Part2で見たように、Microsoft社は最近さまざまなLinux用アプリを配布していますが、その多くは同社が自前でリポジトリーを用意しています*3。Webブラウザー「Google Chrome」を配布している米Google社なども同様です。

*3 主なものは、「https://packages.microsoft.com/repos/」というリポジトリー経由で配布されています。
用語解説:パッケージシステム
Linuxディストリビューションを構成する最小単位である「パッケージ」を管理する仕組みのこと。