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 建設業界の生産性向上の波は、施工現場だけでなく、総務や経理、財務といったバックオフィスの業務にも押し寄せている。社員数約200人の橋本店(仙台市)は、年間残業時間の削減に向けて全社的にICT(情報通信技術)を活用。個々の社員の勤務データを集約し、時間がかかっている作業を見える化した。

 橋本店がICT化に乗り出したきっかけの1つは、東日本大震災による災害復旧工事などが急増したことにある。同社は2013年に建設業における標準的な電子商取引のルール「CI-NET」に対応したシステムを導入。その後、注文書や請求書の電子処理を電子契約と一括で進められるように基幹システムを見直した。

 総労働時間を減らすために、19年度には業務の内容と時間の見える化に取り組んだ。個々の社員の業務内容とそれぞれの作業時間を集計した。

2019年7月から20年3月にかけて集計した社員の労働実績を基に、社員1人当たりの年間平均総労働時間を推計したもの。橋本店の資料を基に日経クロステックが作成
2019年7月から20年3月にかけて集計した社員の労働実績を基に、社員1人当たりの年間平均総労働時間を推計したもの。橋本店の資料を基に日経クロステックが作成
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 具体的には個々の社員が使う業務用パソコンに解析ツールを入れ、ログを集計する。作業中の文書ファイルのタイトルなどを自動で解析し、作業の内容やテーマなどを仕分ける。スケジュールソフトに社員が入力した予定の見出しも記録することで、パソコンを使わない現場作業などの履歴も取り込んだ。

 社員は自身の作業記録をグラフで一覧できるほか、細かい作業内容を見ることが可能だ。自身の業務を振り返り、改善に役立てられる。

 分析の結果、年間の総労働時間の55%が現場対応、31%が発注者対応、14%が社内対応だと分かった。施工現場だけでなく業務部門にも効率化の余地があることが判明した。