2021年に供給不足で木材価格が暴騰した「ウッドショック」以来、鋼材や生コンクリート、燃料や内装材などあらゆる資材の価格高騰が建設現場や設計者を悩ませる。高騰の背後にあるのは、建材ごとに異なる供給網だ。新連載「建設資材高騰のカラクリ」では建設資材の価格動向と供給プロセスを深掘りし、素材会社や部材メーカー、工務店などが取り組む改革事例を追う。

建設資材高騰のカラクリ
目次
-
建築費も「安いニッポン」、東京と世界の大都市を比較してみた
木材に鋼材、生コンクリート、ガラスから内外装材まで、あらゆる資材の高騰が影響し、上昇を続ける日本の建築費。では、他国と比べて日本の建築費は高いのか、それとも安いのか。
-
不動産協会・菰田理事長に直撃、なぜ公共工事のように価格転嫁できない?
不動産協会の菰田正信理事長に書面インタビュー
未曽有の資材高騰が建設業界を襲っている。建設会社は民間発注者に対して請負代金の増額を求めているが、価格転嫁はなかなか進まない。不動産協会の菰田正信理事長に価格転嫁などに関する質問をぶつけたところ、文書で回答があった。
-
「民間工事にもスライド条項を」、日建連・宮本会長を突き動かす人材難への危機感
日本建設業連合会の宮本洋一会長に聞く(後編)
建設資材の高騰による建設コストの上昇が、建設会社と発注者の関係を揺さぶっている。今こそ両者の関係を見直さなければ、建物をつくる人がいなくなる──。日本建設業連合会の宮本洋一会長は、こう警鐘を鳴らす。
-
「ゼネコンが全て被るのはおかしい」、発注者に価格転嫁を迫る日建連の宮本会長
日本建設業連合会の宮本洋一会長に聞く(前編)
建設資材の高騰に歯止めがかからない。民間建築工事では価格の上昇分を工事費に転嫁するのが難しく、建設会社は頭を悩ませる。日本建設業連合会の宮本洋一会長は、「発注者にも資材高騰によるコスト増を負担してほしい」と強く訴える。
-
建材・住設大手がまた一斉値上げ、合板高騰も止まらず住宅価格上昇へ
建設資材の高騰が止まらない。2022年6月から7月にかけてガラスや内装材、住宅設備機器の大手企業などで値上げ発表が相次いだ。合板も価格上昇が続く。21年に値上げを実施した大和ハウス工業は「恐らく再び値上げすることになる」とした。
-
AGCなど大手が10月に建築用ガラスを4割値上げ、原料高騰に円安が追い打ち
大手ガラスメーカーのAGCと日本板硝子は2022年10月1日、国内建築用ガラス製品を値上げする。値上げ率は板ガラス製品で最大約40%。22年7月に相次いで発表した。両社は21年10月にも値上げを実施している。
-
止まらぬ内装材値上げ、大手は1年間で3回 ウクライナ侵攻でナフサの価格が青天井
内装材商社大手のサンゲツは、壁紙や床材などの商品価格を2022年10月1日受注分から7~12%値上げする。22年6月17日に発表した。同社の値上げは21年9月、22年4月に続き、およそ1年間で3回。内装材価格の高騰が止まらない。
-
三菱地所系木材会社の巨大工場に潜入、木材加工“一気通貫”の実力
三菱地所グループの木材会社「MEC Industry(メックインダストリー)は2022年5月30日、鹿児島湧水工場が22年6月から本格稼働すると発表した。本格稼働によって原木の調達から製材、木材製品の加工、施工、販売といった、供給網の川上から川下まで一気通貫で担えるようになる。発表前の22年3月に…
-
資材高騰の裏で進む運び手不足、国が急ぐ「フィジカルインターネット」とは
建設資材の価格を押し上げる要因の一つである輸送コストの増大は、運び手不足でより深刻化する恐れがある。2022年3月に経済産業省と国土交通省が物流改革のロードマップをまとめ、共同配送による効率化や輸送拠点間の連携による輸送網の強じん化の必要性を訴えた。建設業にも業界をまたいだ課題への対応が一層求めら…
-
セメント製造の心臓部をドローンで監視、最大手の太平洋セメントが故障予測DX
セメント製造の燃料に使う石炭の価格高騰が続く一方で、セメント業界が対峙する難題の1つが製造設備の老朽化だ。最大手の太平洋セメントは点検技術のデジタルトランスフォーメーション(DX)に乗り出し、供給体制の安定を確保する。
-
DXで供給網改革、ガラス大手AGCが年間1000時間削減したスマート在庫管理
連載「建設資材高騰のカラクリ」は、今回から対策編。企業や行政が取り組む供給網の変革事例を追う。全社を挙げてDXに取り組むガラス大手のAGCは、供給網の川上である原料の調達・製造と、川下であるガラス製品の輸送でDXを駆使した改革を進めている。
-
ロシア産石炭禁輸の衝撃、セメント向けの代替輸入が難しい理由
ロシアによるウクライナ侵攻を巡って岸田文雄首相は2022年4月8日、ロシアからの石炭輸入を禁止すると表明した。ロシア産の石炭に燃料の多くを頼るセメント業界は輸入先の切り替えを急いでいるが、代替需要の集中に伴う価格高騰や輸送コストの増大は免れない。建設現場にとって、資材価格のさらなる高騰という事態は…
-
建材・設備27社、値上げ一覧表 ウクライナ危機でさらなる“雪崩”も
建材・設備メーカーの値上げが相次いでいる。日経クロステックは、2021年10月以降に実施された値上げ情報を収集。外装材・内装材・設備の3分類で一覧表としてまとめた。今後、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原料価格の急騰が製品価格をさらに押し上げ、値上げの“雪崩”が生じる恐れがある。
-
輸送船航路を追跡、セメント製造の鍵握るロシア産石炭の行方は
生コンクリートの主原料であるセメントに関して、国内メーカー各社は製造時の燃料に使う石炭の大部分をロシア産に頼っていることが分かった。調達の代替先候補であるオーストラリア(豪州)産などの石炭には欧州からの切り替え需要が殺到し、価格の先行きが不透明だ。ロシア産の石炭の輸入に異変はないのか。船舶情報サー…
-
壁紙も高騰、内装材大手サンゲツ社長の焦心「今のままでは業界総倒れ」
建設資材の高騰は、構造物の躯体に使用される木材やコンクリートなどにとどまらない。内装材商社大手のサンゲツは、商品約1万2000点ほぼ全ての価格を2022年4月1日の受注分から一斉に値上げする。安田正介社長への取材を基に、内装材高騰の原因をひもとく。
-
ロシア発の第2次ウッドショックか、製材止まれば毎月1.7万棟の住宅に影響
ロシアのウクライナ侵攻を受けた木材の供給制約が日本の木材需給バランスに与える影響が懸念されている。ロシア産製材は天井の下地材として重宝されており、輸入が止まれば、月当たり住宅1万7000棟分の天井の下地材に影響を及ぼすという試算もある。
-
内需横ばいなのに生コン高騰のナゼ、ロシア産石炭のリスクも浮上
建設現場に流通する生コンクリートの価格が上昇している。主な原料である石灰石や砕石は国内産で、国内の需要に急増の気配は見られない。高騰の原因はどこにあるのか。供給網を探ると生産プロセスにおける燃料高騰や輸送制約の課題があった。ウクライナ情勢が緊迫するなか、ロシア産石炭の調達リスクも浮上する。
-
鋼材高騰で異常事態 価格1.5倍、納期2倍で建築工事に遅れも
2021年に起こった世界的な木材価格の高騰「ウッドショック」の後を追うかのように、鋼材の価格が上昇している。調達のリードタイムが長引き、工場建設の見直しや公共施設の開業延期につながるなど建築プロジェクトにも影響が出始めた。鉄鉱石と石炭の価格高騰や世界的な供給体制の見直しが需給バランスを崩し、価格の…
-
終わらないウッドショック、今度は合板高騰のカラクリ
2021年、輸入木材の需給が逼迫して価格が高騰する「ウッドショック」が起こった。その後、価格の上昇は鈍化したが依然として高水準のままだ。そして今度は合板価格が急騰。網の目状に広がった木材の供給網が、価格決定のメカニズムを複雑にしている。