建材・設備メーカーの値上げが相次いでいる。ガラス、アルミサッシ、フローリング、金属外壁、防水材、トイレ、ユニットバス、システムキッチン、壁紙、塗料……。価格が上がっていない建設資材を探すほうが難しい状況だ。
日経クロステックは、日経アーキテクチュア2021年11月25日号特集「採用したい建材・設備メーカーランキング2021」に掲載したメーカーを中心に、21年10月以降に実施の値上げ情報を収集。22年3月28日時点の情報で、外装材・内装材・設備の3つに分類して表にまとめた。
値上げの主な原因は原料や燃料の価格上昇だが、表にまとめた建材・設備メーカーの値上げ情報はいずれもロシアのウクライナ侵攻の影響を含んでいない。
既に素材メーカーでは、ウクライナ危機に伴う原料価格の急騰を素材価格に転嫁する動きが現れ始めている。例えば連載第5回で扱った内装材の主原料である塩化ビニール樹脂。原料であるナフサの価格が急騰。22年3月14日のカネカを皮切りに、16日信越化学工業、18日大洋塩ビ、23日新第一塩ビが22年4月1日からの値上げを発表した。
素材メーカーが素材価格を値上げしてから、建材メーカーなどが製品価格を引き上げるまでには一定のタイムラグがある。建材メーカーは原料の価格上昇のたびに随時値上げするのではなく、原料や燃料、素材の値上げが一通り出そろった段階で価格改定に踏み切るからだ。
そのため今後、原料の急騰が時間差を伴って外装材・内装材・設備の価格をさらに押し上げる恐れがある。
企業名 | 製品名 | 値上げ | 実施日 | 値上げ理由 |
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フクビ化学工業 | 下記以外 樹脂開口枠(UB枠各種、UB枠用補修スプレー、マルチユース開口枠カバー、リフォーム用下枠、UB枠用蹴込板)、防水部材(ウェザータイト各種、水切りシート)、フェノバボード各種 |
約10% | 21年10月1日受注分から | 原油・ナフサ・金属・木材など資材価格の高騰 |
淀川製鋼所 | 鋼板商品全品種 | 1トン当たり2万円 | 21年10月1日出荷分から | 主原材料および亜鉛やアルミなどの副原料の価格高騰 |
ヨドルーフ、ヨド角波サイディング、ヨドスパン、ヨドプリント | 1トン当たり2万円 | |||
パネル商品と金属サイディング | 約10~15% | |||
LIXIL | 金属外壁「Dan サイディング」(旭トステム外装) | 15%程度 | 21年11月1日から | 原材料の高騰 |
窯業外壁「AT-WALL(鋼板部材)」(旭トステム外装) | 15%程度 | |||
石付き鋼板屋根「T・ルーフ」 | 10%程度 | |||
田島ルーフィング | 防水材料 | 10~20%程度 | 21年12月21日出荷分から | 原料の高騰および物流コストの上昇 |
住化積水フィルム | フィルム製品 | 30円/kg 以上 | 22年1月出荷分から | 主要原料である国産ナフサ価格の上昇 |
2次加工製品 | 10%以上 | |||
三協立山 | エクステリア商品全般(一部商品除く) | 10%程度 | 22年2月1日受注分から | 原材料、諸資材価格の高騰や物流費の上昇 |
ビル商品全般 | 10%程度 | |||
YKK AP | 金属外装材 | 約15% | 22年2月1日発注分から | 原材料価格の上昇や燃料費・物流費の高止まり |
ビル用商品 | 約8%~10% | 22年4月1日発注分から | ||
エクステリア商品 | 約8% | |||
神島化学工業 | 外壁・軒天材専用副資材の一部 | 22年度版カタログを参照 | 価格改定後の製品カタログは22年2月上旬発行予定。建材電子カタログは22年3月上旬頃に更新予定 | 原材料・仕入れ部材などの高騰および物流費の高騰 |
大倉工業 | 合成樹脂原反製品 | 2.0銭/CC 以上 | 22年3月21日出荷分から | 円安の影響や原料メーカーのプラント老朽化による修繕費の増加。物流費の上昇。国産ナフサ価格の急騰。原料価格のベースアップ |
合成樹脂2次加工製品 | 5%以上 |