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 ロシアによるウクライナ侵攻を巡って岸田文雄首相は2022年4月8日、ロシアからの石炭輸入を禁止すると表明した。ロシア産の石炭に燃料の多くを頼るセメント業界は輸入先の切り替えを急いでいるが、代替需要の集中に伴う価格高騰や輸送コストの増大は免れない。建設現場にとって、資材価格のさらなる高騰という事態は避けられそうにない。

 岸田首相は首相官邸で記者会見を開き、ロシアによるウクライナでの民間人殺害を受けて追加の経済制裁を説明した。石炭について「早急に代替策を確保し、段階的に輸入を削減してエネルギー分野でのロシアへの依存を低減する」と語った。

岸田文雄首相は「ロシアからの石炭の輸入を禁止する」と表明した(資料:首相官邸)
岸田文雄首相は「ロシアからの石炭の輸入を禁止する」と表明した(資料:首相官邸)
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 22年4月7日には主要7カ国(G7)の首脳が共同声明で「ロシアからの石炭輸入の段階的廃止や禁止を含む計画」を進めると表明していた。4月8日の午前には、萩生田光一経済産業相が閣議後の記者会見で石炭の輸入について「最終的には輸入をしないという、そういう方向を目指していきたい」と言及した。

 セメント業界はロシア産石炭の禁輸で大きな影響を受ける。石炭は、石灰石などのセメント原料を1450度超の高温で焼成するための主な燃料だ。セメント協会(東京・中央)によると、2020年度は製造時における熱エネルギーの約72%を占める。日本は石炭のほぼ全量を輸入しており、セメント業界ではロシア産の割合が約5割を占める。

 いきなりロシアからの石炭輸入を全量ストップすれば、供給への影響は免れない。政府は今回の禁輸措置について、あくまで段階的に実施する予定だ。