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 建設資材の価格を押し上げる要因の一つである輸送コストの増大は、運び手不足でより深刻化する恐れがある。2022年3月に経済産業省と国土交通省が物流改革のロードマップをまとめ、共同配送による効率化や輸送拠点間の連携による輸送網の強じん化の必要性を訴えた。建設業にも業界をまたいだ課題への対応が一層求められそうだ。

 22年3月8日、経産省と国交省は「フィジカルインターネット」と呼ぶ物流のあるべき将来像と40年までのロードマップを公表した。物流の「効率性」や「強じん性」、労働環境の改善や雇用創出を含む「良質な雇用の確保」、買い物弱者や地域格差へ対応した「ユニバーサルサービス」の4項目を目標に掲げている。

2040年までのフィジカルインターネット実現に向けたロードマップ(資料:フィジカルインターネット実現会議)
2040年までのフィジカルインターネット実現に向けたロードマップ(資料:フィジカルインターネット実現会議)
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 2省は21年に「フィジカルインターネット実現会議」を立ち上げ、農林水産省や各分野の専門家らを巻き込んで課題の整理やロードマップの策定を進めてきた。大がかりな取り組みの背景にあるのは、物流の需給における大きなギャップだ。

 インターネット通販をはじめとしたEC(電子商取引)市場の成長や多品種・小ロットの輸送需要の増加によって物流の需要は右肩上がりが続く。

 一方、働き方改革やトラックドライバーの高齢化、脱炭素社会への対応によって物流サービスの供給はさらなる減少が予測されている。日本ロジスティクスシステム協会(東京・港)は、道路貨物運送業の運転従事者が30年には51.9万人と、15年比で32%減少すると推計する。

 これらを踏まえ、フィジカルインターネット実現会議は10年代初頭に物流の需要が供給を超過し、今もなお逼迫が続いていると指摘した。何も対策を講じない場合、供給力の不足によって30年には国内総生産(GDP)が7.5~10.2兆円押し下げられると試算している。

物流の需給推移と予測。フィジカルインターネット実現会議は何も対策を講じない場合は2030年にGDPが7.5~10.2兆円押し下げられると見込む(資料:フィジカルインターネット実現会議)
物流の需給推移と予測。フィジカルインターネット実現会議は何も対策を講じない場合は2030年にGDPが7.5~10.2兆円押し下げられると見込む(資料:フィジカルインターネット実現会議)
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 「物流コストが高騰しているにもかかわらず、それに見合うようなトラックドライバーの所得の向上がみられない」。フィジカルインターネット実現会議は公表した資料の中で、低い待遇による人手不足が特に根源的な課題だと指摘する。雇用の流動化が進む現在においてはどの業界も避けられない問題で、建設業界も例外ではない。