
現実の世界をコンピューター上の仮想空間にうり二つの双子として再現する「デジタルツイン」。DX(デジタル変革)の先進企業を中心に導入が相次いでいる。センサーやカメラから得た情報を用いて現実空間の変化を仮想空間に逐次反映し、製造設備の保守や建物の管理などに生かす使い方が主流だ。導入企業は何を狙い、どんな成果を上げているのか、どのようなITの仕組みが必要か。先行ユーザーの事例から探る。
現実の世界をコンピューター上の仮想空間にうり二つの双子として再現する「デジタルツイン」。DX(デジタル変革)の先進企業を中心に導入が相次いでいる。センサーやカメラから得た情報を用いて現実空間の変化を仮想空間に逐次反映し、製造設備の保守や建物の管理などに生かす使い方が主流だ。導入企業は何を狙い、どんな成果を上げているのか、どのようなITの仕組みが必要か。先行ユーザーの事例から探る。
出典:日経コンピュータ、2022年3月3日号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
コニカミノルタは内視鏡を用いた脊椎の切削手術を仮想空間でシミュレーションするデジタルツインのアプリケーションを提供している。同アプリケーションは患者が医療機関で撮影した実際のCTやMRIの画像を読み込んで仮想空間に3次元で描画する機能を備える。
鹿島は実際の建物のデータと熱・煙に関する時系列データに基づいて避難シミュレーションをする「人・熱・煙連成避難シミュレータ PSTARS」を2014年に開発し、2021年に米Microsoftのヘッドマウントディスプレー「HoloLens 2」に対応させた。BIMを活用して建物の構造を仮想空間に3次…
旭化成はベテラン技術者の不在時に設備異常が発生した際、ベテランが現場に出向かずとも遠隔で対応できる体制づくりを目指し、デジタルツインシステムを開発した。
日本瓦斯(ニチガス)は2021年冬からデジタルツインのシステムである「ニチガスツイン on DL」の運用を開始。併せて、遠隔での開閉栓機能を持つスマートメーターを導入した。各戸のボンベのガス使用量や、配送中のボンベの所在といったデータを、「ニチガスストリーム」と名付けたデータ基盤を介してニチガスツ…
竹中工務店はさまざまな建設業務の生産性を向上すべく、ビルの営業から設計、生産準備、施工、維持保全までのプロセス全体をカバーするように複数のデジタルツインを構築し活用する取り組みを進めている。
清涼飲料メーカーのサントリー食品インターナショナルは、2021年5月に稼働させた「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」に、デジタルツインの機能を持つIoT基盤を導入した。製品の製造工程(設備や調達、製造、品質管理、出荷など)に関する各種データをIoT基盤に集約。データを基に工場内の見える化や…
「デジタル技術を活用したプロセス改革によって『止まらない工場』を実現し、ロスを低減させる」――。空調製品を生産するダイキン工業の高山正範テクノロジー・イノベーションセンター生産システム革新グループリーダー主席技師は2020年ごろから本格活用しているデジタルツインシステムの狙いをこう説明する。
製造や建設、流通を中心に、デジタルツインの導入が国内で相次いでいる。現実空間のデータを高精度・高頻度に取得し、仮想空間で未来を予測する。DX(デジタル変革)の新たな潮流の1つになっている。