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Webページやファイル単位の翻訳も可能

 翻訳サービスでは、サービスのWebサイトにアクセスして英文を貼り付けることで日本語訳を得られる。この作業が面倒だと思う人もいるだろう。

翻訳サービス「DeepL」の画面。左側のペインに翻訳したいテキストを入力すると、右側に日本語訳が表示される
翻訳サービス「DeepL」の画面。左側のペインに翻訳したいテキストを入力すると、右側に日本語訳が表示される
(出所:DeepL)
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 グーグルのChromeや米Microsoft(マイクロソフト)のEdgeといったWebブラウザーでは、表示したWebページ全体を指定した言語に翻訳できる機能を備えている。標準で翻訳機能を備えていなくてもプラグインなどで機能を拡張することによって、Webページ単位や選択した範囲を翻訳できるようになっている。

 DeepL翻訳ツールやGoogle翻訳では、URLを指定したり、PDFやWordなどのファイルをそのまま取り込んだりして翻訳できるので便利だ。なお、学会の論文などで見かける本文が2段組みになったレイアウトのファイルでは、これらの機能がうまくいかないことがあった。PDFのつくりに問題があるのかもしれない。ただ多くのPDFファイルでは、正しく文章を取り込んで精度の高い翻訳結果を得られた。なお、DeepL翻訳ツールではファイルの取り込みは1カ月当たり3つまでという制限がある。有料サービスの「DeepL Pro」であれば、この制限は緩和される。

翻訳サービス「Google翻訳」。ファイル単位での翻訳にも対応する
翻訳サービス「Google翻訳」。ファイル単位での翻訳にも対応する
(出所:Google)
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 英文の本や資料などの紙媒体に書かれた英語を翻訳したいこともある。筆者は以前、紙媒体の英文をスマートフォンで撮影し、パソコンに取り込んでからOCR処理をかけてテキストデータを翻訳サービスに取り込ませていた。非常に手間がかかる作業だった。今なら、グーグルのAIを使った画像検索アプリ「Googleレンズ」をスマホに入れておけば、英文をスマホで撮影するとそのまま翻訳結果が得られるようになっている。パソコンがない環境でも使えるので、外出先でも重宝する。便利すぎる機能だと思っている。

ファイルのアップロードには注意

 翻訳サービスは非常に便利だが、セキュリティー上の注意すべき点がある。例えば、翻訳対象のテキストに個人情報や業務に関わる情報が含まれていているときは利用を控えるべきだ。サービスを利用すれば、サービス事業者がそのテキスト内容を閲覧したり保存したりできる可能性があるからだ。

 DeepLは規約で、無料版のサービス(DeepL翻訳サービス)に個人データを含むテキストデータを使用してはいけないと明言している。

当社の利用規約には、なんらかの個人データが含まれるテキストはDeepL翻訳で使用してはいけない旨が記載されています。個人データが含まれるテキストは、DeepL Proで一定の条件を満たす場合に限り翻訳していただけます。
(出所:https://www.deepl.com/ja/privacy)

 同社は、利用者が取り込ませたテキストデータを翻訳精度を高めるために使う可能性があるとしている。なお有料サービスのDeepL Proなら、やりとりするデータはストレージではなくメモリー(RAM)のみに保存し、機械学習のトレーニングには使用しないとしている。もし企業などで利用する場合は無料版ではなく、有料版を使ったほうがよいだろう。

粕淵 卓(かすぶち たかし)
情報処理安全確保支援士、技術士(情報工学)、CISSP。セキュリティーエンジニアとして働きながら、ネットワークやセキュリティーに関する記事の執筆や講演に携わる。難しいセキュリティーをクイズ形式で楽しく学べる「WEST-SEC CTF」を主宰。