
政府が規制改革担当大臣を置いて20年あまり。しかし「岩盤規制」はいまだに存在し、デジタル技術の活用を阻んでいる。新型コロナ禍でオンラインの会議や申請が広く浸透したが、こと行政に関しては対面や常駐を必要とするアナログ規制が立ちはだかる。モビリティーやシェアリングの新技術も従来の許認可がその広まりを縛っている。改革の加速を掲げた菅政権と岸田政権。アナログ規制はどう緩まり、そして今後どう変わっていくのか、検証した。
政府が規制改革担当大臣を置いて20年あまり。しかし「岩盤規制」はいまだに存在し、デジタル技術の活用を阻んでいる。新型コロナ禍でオンラインの会議や申請が広く浸透したが、こと行政に関しては対面や常駐を必要とするアナログ規制が立ちはだかる。モビリティーやシェアリングの新技術も従来の許認可がその広まりを縛っている。改革の加速を掲げた菅政権と岸田政権。アナログ規制はどう緩まり、そして今後どう変わっていくのか、検証した。
厚生労働省は2022年11月28日、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの感染を同時に調べられる抗原検査キットについて、一般用医薬品(OTC)として市販を認める措置を決めた。薬剤師が購入者に助言や確認をしたりする前提で、ネットでも販売できるようになる。
紙による書面交付を原則とする「アナログ規制」が、さまざまな消費者向けサービスで消えようとしている。契約書の交付や重要事項の説明を、紙の書類でなく原則として電子データの形とし、オンラインで完結できるようにする「デジタル原則」へと切り替える法改正が、複数の分野で進みつつあるからだ。
新型コロナウイルス感染症の第7波により検査を求める人が増えるなか、2022年8月末から抗原検査キットのネット販売が始まった。厚生労働省が2022年8月17日、医療用だった検査キットを一般用医薬品(OTC)として販売を認めたことを受けた動きである。
生産終了から10年以上がたち、一般職場や家庭でも見かけることすら珍しいフロッピーディスク(FD)。だが行政手続きを定める法令では時が止まっており、いまだ現役だ。
2022年4月から医師によるオンライン診療と薬剤師によるオンライン服薬指導が全面的に解禁される。しかしこれらの医療デジタル化に取り残され、対面などを強いる「アナログ規制」が立ちはだかる分野がある。市販薬販売である。
遠隔診療など医療のオンライン活用が日本でようやく実質的なスタートラインに立つ。厚生労働省は2022年1月に指針を改め、再診からしか許していなかったオンライン診療を初診から利用できるようにするなど、医師の診療と薬剤師による服薬指導におけるリモート技術活用への制限を大きく撤廃した。
2020年3月から急拡大した新型コロナウイルス感染症は、見直しへの抵抗が強い「岩盤規制」に幾つかの穴を開けた。例えば、食事や飲料などのフードデリバリーに限って、タクシーが同じ車両で移動客も荷物も運べる「貨客混載」が限定的に認められた。