本特集の前回と前々回では、KDDI(au)の3G端末を振り返った。ここでは2024年1月下旬に3Gサービスを終了するソフトバンクと、2026年3月に3Gサービスを終えるNTTドコモの懐かしい3G端末を振り返ってみよう。個性豊かなソフトバンク、歴史を感じるNTTドコモなど、今だからこそ見えてくるラインアップの違いが興味深い。
ソフトバンク:カオスな面白さのラインアップ、「日本のiPhone」もここから
まずはソフトバンクの3G端末だ。記事作成にあたりソフトバンクから3G端末の写真を取り寄せたところ、見れば見るほどカオスで個性豊かなラインアップに心を奪われてしまった。理由の1つは、ソフトバンクの3G端末は、出どころが3系統あるからだろう。すなわち、ソフトバンク買収前のボーダフォン時代に出した端末、そして買収後のソフトバンクモバイル(現・ソフトバンク)時代に出した端末、そして後にソフトバンクが吸収合併するイー・モバイル時代の端末である。
ノキアのスマホやAQUOSケータイ第1弾を出したボーダフォン時代
ソフトバンクの3Gサービスは、J-フォン時代の2002年12月に開始した「Vodafone Global Standard」が源流だ。J-フォンは2003年10月にボーダフォンへと社名変更した。
ボーダフォン時代の端末は、海外メーカーの機種を積極的に採用していた点が特徴だ。フィンランドのNokia(ノキア)による「Vodafone 702NK」は、海外で出ていた「Nokia 6630」をベースにした機種であり、国内端末には見られないようなユニークな形状をしていた。こちらの端末は、英Symbian(シンビアン)が開発したOSを搭載しており、スマートフォンに分類されていた。ボーダフォン時代には、「Nokia 6680」をベースにした「Vodafone 702NKII」なども発売された。
国内メーカーからも特徴のある機種が出ていた。例えば2006年発売のシャープ製「Vodafone 905SH」は、シャープによると、業界で初めて液晶画面を横方向に90度回転できるサイクロイドスタイルを採用した機種という。「AQUOSケータイ」の愛称が付いたのはこの機種が最初だ。
大きな変化のきっかけとなったiPhone 3G
ソフトバンクがソフトバンクモバイルという社名だった3G全盛期、同社は今もスマートフォン市場で高いシェアを占め、毎年新機種が発売される米Apple(アップル)のiPhoneを日本で最初に扱った。2008年7月に発売した「iPhone 3G」である。iPhone 3Gは、携帯端末の用途や使い方を大きく変えるきっかけとなった。
発売当日、有楽町の家電量販店で開かれた発売記念セレモニーに登場した孫正義社長(肩書は当時)は、「今日は携帯業界の新しい歴史の1日が始まると感じている」とコメントした。「今までの携帯は音声とメールが中心だったが、インターネットがこんなに快適にさくさくと見られるのは感動する。パソコンが手のひらに来たという世界観が広がる」(同氏)と実際にiPhone 3Gを使用した感想を述べた。
孫氏が指摘したこの世界観は、約14年が経過した今、大きく広がり常識となった。