「メールが来ていないかどうか気になって、センター問い合わせを連打」
「電波がバリ3で入らないときに、アンテナを伸ばしてふりふり」
「電池パックの裏蓋に写真」
こんなガラケー時代の「あるある」の連続に、当時、青春時代を過ごした30~50代のハートがわしづかみにされている。NTTドコモが2022年3月4日に公開した動画「iモード卒業公演」だ。
何を隠そう、筆者もわしづかみにされたど真ん中世代である。筆者周辺のSNSでも、動画が公開されるや否や話題沸騰となり、当時を懐かしむ声であふれかえった。公開後、2週間強でTwitterにおける動画の再生回数は実に400万を超えるなど、大きな反響を呼んでいる。
3Gサービスで花開いた日本独特のコミュニケーション文化の爆発は、当時のケータイやサービスと離れがたく結びついている。誰もが自分ごととして話さずにはいられないようだ。
だがドコモの3Gサービス終了は26年3月末である。4年も先であるにもかかわらずドコモはなぜ今、この動画を公開したのか。ドコモに真意を聞いた。
「感謝の気持ちを伝えたかった」、現場立案でプロジェクト開始
「ドコモのiモードとFOMAは20年以上の歴史がある。終了まで4年となったこのタイミングで、ご利用いただいたすべての方に感謝の気持ちを伝えたかった」――。
このように語るのは「iモード卒業公演」の生みの親であるNTTドコモプロモーション部第二コミュニケーション担当の服部玲奈氏だ。
今回のiモード卒業公演、実はドコモ社員自らが取り組みたい施策を立案する「チャレンジ施策」に基づいた企画という。服部氏が「もともと取り組んでみたい」と温めていた企画であり、同氏がエントリーしたことで21年7月に企画がスタートした。
なぜ3Gサービス終了まで4年となる今のタイミングだったのか。服部氏は「機種変更に2~3年の期間をかける方も多いので、早い段階で3Gサービス終了の時期を知ってもらいたかった」と話す。
動画公開時期は、KDDIの3Gサービス終了時期と重なった。服部氏は「(KDDIの3Gサービス終了に)合わせることは意識していなかった。ただ企画を通していく上での一つのポイントになった」と打ち明ける。22年3月末のKDDIを皮切りに、24年1月下旬のソフトバンク、26年3月末のドコモと一時代をつくった日本の3Gサービスが表舞台から去っていく。iモード卒業公演は、そんな3G時代の終わりの始まりを告げるセレモニーのように受け止められた。