全3785文字
PR

「カンブリア爆発」は「0円」端末が生んだ?

堀:当時は今のスマホと比べて、端末開発費は安く抑えられたのでしょうか? スマホは部材コストやソフトウエアの開発工数がかかっている気がします。今のスマホと比べて当時の端末開発費が安かったから、多様な端末を生み出せたということはあるのでしょうか?

近:当時も端末開発費は安くなかったですね。当時のケータイは、今のスマホとはまったく違うプロダクトのつくり方でした。

高:スマホは電子部品の塊ですが、当時のケータイは機構部品の塊だったということでしょうか?

近:そうですね。ヒンジやハードのボタンなど、当時のケータイは今のスマホと比べて部品点数が圧倒的に多かったです。先日、「G'zOne」の復活モデル(G'zOne TYPE-XX)を発売しましたが、こちらは普通のスマホと比べて圧倒的に部品点数が多く、部材コストだけを見ると、通常のスマホよりも高くついています。

高:当時のケータイが搭載していたテンキーをつくれるようなメーカーは、今も残っているのでしょうか?

近:かなり減ってしまいました。ヒンジについても、当時は回転するタイプなどをさまざまなメーカーさんが開発していました。その後、折り畳みケータイの市場が縮小しスマホに移行してから、ヒンジやテンキーのメーカーがぐっと減ってしまいました。今ではほとんど残っていないというのが正しいところです。

堀:だとすると、この時代、これだけ多種多様な端末を開発できたのは、それだけ数が出ていたということでしょうか?

3G全盛時代、半年ごとに端末を買い替える利用者も少なくなかった
[画像のクリックで拡大表示]
3G全盛時代、半年ごとに端末を買い替える利用者も少なくなかった
(写真:日経クロステック)

近:数は出ていましたねえ。

堀:数が多いポスト団塊ジュニア世代が一人1台買ったという購買力でしょうか?

砂:購買力もそうですが、当時は「0円」で端末が買えましたからねえ。それも端末のバリエーションを増やせた要因の一つでした。

近:多い人では半年に一度、端末を買い替えていましたね。

堀:まあ、当時から端末を長く使う人と短期的に買い替える人の間の不公平感は指摘されていました。総務省が2007年に「0円」端末の問題にメスを入れたのは、それはそれで一理ありました。