川崎重工業は、歩行と車輪移動を兼ね備えた大型の4脚ロボット「RHP(Robust Humanoid Platform) Bex」(以下、Bex)を、「2022国際ロボット展(iREX2022)」(2022年3月9~12日、東京ビッグサイト)で初めて公開した。脚と車輪走行の両方を切り替えて移動できるほか、可搬重量が約100kgと非常に大きいことが特徴である。展示会場のデモでは、車輪による走行や人を乗せて歩行する様子を披露した。
Bexはまるで鹿のようで、頭部に相当する部分には角のような突起も付いている。川崎重工業の説明員は「4脚動物が行ける場所ならどこにでも行ける、新しいモビリティー」と説明する。Bexは、車輪を持つ自走式サービスロボット「Nyokkey」と2足歩行するヒューマノイドロボットの、中間の領域をターゲットとする。自走式サービスロボットの実証実験を進める中で、不整地での移動は車輪よりも脚移動が適していると判断し、どちらも併せ持つBexの開発に取り組んだという。
脚機構は、これまで川崎重工業が開発してきたヒューマノイドロボット「RHP Kaleido」(以下、Kaleido)と「同じ部品を用いて構成されている」(同社の説明員)という。2足歩行するKaleidoの可搬重量は50kgで、その脚を前後に2組備えるため、Bexでは可搬重量が100kg以上になるという。
脚機構の接地部分には、ボールのようなものが取り付けられている。脚移動と車輪走行はシームレスに切り替わるわけではない。まず静止した状態で4本の脚を折り畳み、腹部から駆動車輪を下ろすことで車輪走行モードになる。脚機構の膝の部分には、方向転換などに使用するオムニホイールのような役割とみられる車輪が取り付けられている。
用途として想定するのは、まずは荷物の運搬である。建築現場の資材や農作業での収穫物など、重量物を人の代わりに運ぶ役割を担う。さらに、Bexの上半身部分は用途によって作り替えることも考えているという。その際は、川崎重工業は下半身の4脚部分に注力し、上半身はパートナー企業に開放するような、オープンイノベーションプラットフォームとして提供していきたいとする。