SF映画のような未来感からこれまで話題が先行していた、空中ディスプレー技術の社会実装が、コロナ禍での非接触ニーズを追い風に立ち上がりつつある。先行するのは、センサーと組み合わせたタッチパネル代替の用途だ。背景には、光学結像素子の技術改良による映像品質の向上とコストダウンがある。タッチパネル代替では公共端末のみならず、工場など汚れた手でのタッチ操作が必要な現場での導入も想定され、そのほか、車載やサイネージ、エンタメなど他用途への展開の期待も大きい。
 しかし一方で、コストや視野角の狭さなど普及に向けて解決すべき課題も多い。今後問われるのは、コストアップに見合うだけの映像が浮く価値の提供だ。
 実はこの技術は世界でも日本勢が先頭を走っており、国内において国際標準化に向けた活動が進められている。日本発の「次世代ディスプレー技術」として花開くのか。最前線を追った。