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 「映像品質の良しあしはまさに一目瞭然で、それが直接、競争力になる。性能を左右するのは、光学設計、精密加工、高機能材料といった技術で、今のところこれらの技術に強い日本企業が独走している。日本が強みを発揮できる産業分野として打ち出していける」

 パッシブ型の特殊な光学素子を使って空中に映像を出し、インターフェースなどとして活用する「空中ディスプレー」技術。この分野の第一人者で、自ら再帰性反射*1を使ったシステムに関して特許を持つ、宇都宮大学工学部基盤工学科教授の山本裕紹氏はこう語る。

*1 入射光の光路にほぼ沿う方向に光を反射させる技術。古くから道路標識などにも使われている。
マクセルが21年度に製品化した、再帰性反射の光学素子を使った空中ディスプレーシステム「AFID(Advanced Floating Image Display)」。空中映像の輝度がiPad(第9世代)画面の4倍に相当する2000cd/m<sup>2</sup>と明るいのが最大の特徴。
マクセルが21年度に製品化した、再帰性反射の光学素子を使った空中ディスプレーシステム「AFID(Advanced Floating Image Display)」。空中映像の輝度がiPad(第9世代)画面の4倍に相当する2000cd/m2と明るいのが最大の特徴。
(写真:マクセル)
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 空中ディスプレーは、2010年代前半ごろから展示会などでしばしば見かけられた技術である。しかし、社会実装はなかなか進まず、ようやく21年ごろから新型コロナウイルス禍での非接触ニーズの高まりを追い風に、銀行のATM、病院や公共施設の受付端末などで利用が始まっている。