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 新型コロナウイルス禍での非接触ニーズの高まりから、社会実装が始まっているパッシブ型光学素子を使う空中ディスプレー技術。空中に映像を浮かす見た目のインパクトも手伝って採用が広がっているが、非接触入力の実現にはコストが高い、光学システムの新規導入が必要、システムのサイズが大きい、などの課題がある。

 こうしたなか、より簡単・低コストに空中での非接触入力を実現する手段として大日本印刷が力を入れているのが、「DNP非接触ホロタッチパネル」(以下、ホロタッチ)である。同社が模倣品対策などセキュリティー用途向けに約30年前から量産している、「リップマンホログラム」と呼ばれる技術を転用した、“古くて新しい”システムである。

リップマンホログラムのフィルム。厚さは0.1~0.2mm。国内では大日本印刷が唯一、量産技術を持つ。模倣品対策用の製品ラベルなどに使われている。
リップマンホログラムのフィルム。厚さは0.1~0.2mm。国内では大日本印刷が唯一、量産技術を持つ。模倣品対策用の製品ラベルなどに使われている。
(写真:大日本印刷)
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 リップマンホログラムは、フィルム上に特殊なフォトポリマー層を塗布し、物体から反射させた光の干渉縞(かんしょうじま)を、材料内部の密度を変化させることで記録する技術である。エンボスホログラムという汎用的なホログラム技術と比べ、上下左右方向の立体感を表現できる。「リップマンは物理的な凹凸ではなく、材料として反射率の高低に応じた縞模様をつくる技術である」(大日本印刷)。

 画像を記録したフィルムに一定の角度からLEDなどの点光源の再生光を当てることで、フィルムから離れた空中に画像を浮かび上がらせられる。浮遊距離は約50mmまで調整可能だ。

 リップマンホログラムのフィルムは、その製造に高度な複製技術を要するため、量産可能なメーカーは世界でも数社で、国内では大日本印刷のみだという。