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空中ディスプレー用の「パッシブ(受動)型光学素子」は、方式に応じて「映像品質」「システムを構成した際のサイズ」「コスト」などにおいて一長一短がある。各方式の特徴や最新の取り組みなどを見ていく。

 パッシブ型光学素子のうち、マイクロレンズアレイ(MLA)はその名の通り、表面に微小なレンズを並べたプレートである。原理は単純で、凸レンズを介して物体の実像を空間に提示するものだが、1個の大型レンズだけでは焦点距離が長くシステムが巨大になってしまう。そこで凸レンズを微小化して焦点距離を短くし、かつ多数並べることでディスプレー全体の映像を空間に結像する。

 レンズの曲率半径は1mm以下で、凸レンズが結像する上下逆さまの逆像を正像にするため、プレート2枚を貼り合わせている。MLAでは、このプレートを挟んでディスプレーと反対側の空間に平行に結像する。売りは、システムを薄型にできる点と、光がレンズを透過するだけなので輝度が高い点である。また、ディスプレーが大型化しても、システムの奥行きは変わらない。

 MLAはパイオニアに在籍していた現ライト&イメージ代表の石川大氏が開発した技術である。14年にパイオニアから独立して同社を設立。その際、パイオニアからMLAに関する権利を買い取った。MLAプレートの製造は、精密・微細ナノ加工で実績がある山形県のベンチャー企業のイムザックが担当している。同社代表取締役の澤村一実氏は、東北パイオニア出身である。同氏によれば、「面精度を均一に保ったまま数万個のレンズを光学的精度で金型加工する必要がある。加工精度は1µm以下で、貼り合わせの位置精度は5µm」としている。