米Apple(アップル)は米国時間の2022年3月8日に新製品発表会を実施した。目玉となったのはMac向けの新しいプロセッサー「M1 Ultra」とそれを搭載した「Mac Studio」だが、より多くのユーザーに身近なデバイスとして注目されるのは、やはり新しい「iPhone SE」と「iPad Air」の登場であろう。これら2つのデバイスの変化からアップルの狙いを読み解いてみたい。
性能強化で5Gに対応した第3世代iPhone SE
米国時間の2022年3月8日、アップルの2022年最初の新製品発表が開かれた。その中で最も重点が置かれたのはMacに関する内容だった。「M1 Max」チップのダイを相互接続する「UltraFusion」という技術でより高い性能を実現した「M1 Ultra」と、それを搭載した新しいデスクトップパソコン「Mac Studio」が今回の目玉であったことは間違いない。
ただアップルがMacのApple Siliconへの移行を進めるに当たって、残る課題はハイエンドモデルであっただけに、ある意味今回の新製品投入は妥当なものともいえる。一方で、それ以外のデバイスの新製品にはやや意外な部分がいくつかあった。
その1つは第3世代となる「iPhone SE」だ。iPhone SEは2020年に第2世代モデルが登場したが、それから約2年での新機種投入は、初代iPhone SEからのモデルチェンジに4年を費やしたことを考えると次世代機の登場がかなり早まっている。
改めて第3世代iPhone SEの仕様を確認すると、第2世代iPhone SEの性能強化版というべき内容だ。実際、ボディーデザインは第2世代iPhone SEがベースとなっているようで、ディスプレーサイズが4.7インチ、Face IDを採用せずにTouch ID用のホームボタンを備えるなど、今となってはやや古さも感じさせる。
その一方で、強化されたのがプロセッサーだ。第3世代iPhone SEは新たに、現行の「iPhone 13」シリーズと同じ「A15 Bionic」を搭載して大幅な性能向上を実現しており、カメラは1200万画素・F値1.8と従来と変わらないながらもコンピューテーショナルフォトグラフィーの活用でより手軽に高度な撮影ができるようになった。
そしてもう1つ、新たに5G(第5世代移動通信システム)に対応したというのも大きなポイントとなっている。こうした変更は時代の変化を受けたものではあるが、iPhoneの中で最も低価格の領域を担うiPhone SEの底上げが図られたことは確かだ。