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 日本でクラウドを活用する範囲がさらに広がってきた。2021年10月にデジタル庁が発表した「ガバメントクラウド」「先行事業の対象クラウド」には、AWS(Amazon Web Services)とGoogle Cloudが名を連ねた。最近になり、地銀を中心に銀行もクラウド活用の姿勢を強めている。

 クラウドは進化を続け、新たなサービスや機能を次々と出している。例えば2022年3月時点で、AWSのサービスは200種類を超える。野村総合研究所の遠山陽介クラウドインテグレーション推進部長は「クラウドのサービスは出そろった感がある。それらをなかなか使いこなせていない」と最近の課題を話す。クラウドの現在、新常識、そして未来を探っていこう。

AWSのシェアは32~33%

 今回はクラウドの基本を押さえながら、現状をひもとく。2022年2月に調査会社の米Synergy Research Groupは2021年第4四半期におけるクラウドの世界市場についてリポートを出した。調査対象はIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)、Hosted Private Cloudである。

 シェアトップはAWSで32~33%。Microsoft Azureが21%で2位、Google Cloudが10%弱でそれに続く。上位3強は利用実績が豊富で、日本でのシェアも高い。いずれのクラウドも日本では、東京と大阪にそれぞれ拠点を開設し、さまざまなサービスを提供している。

 サービス提供拠点はそれぞれいくつかのデータセンターで構成し可用性を高めている。例えばAWSは現在、「リージョン(Region)」と呼ぶ施設を世界で26の地域や都市に設置。各リージョンは2つ以上の「アベイラビリティーゾーン(AZ)」で構成される。例えばAWSの東京リージョンは4つのAZで構成する。AZはそれぞれ1つ以上の独立したデータセンターから成る。

 複数のAZにまたがる形でシステムを配置することで、1つのAZが丸ごと使えなくなるようなAZ障害に対する可用性を高められる。リージョン障害に備えるには、バックアップシステムを別リージョンに用意しておく手法が考えられる。後に述べるが、「クラウドは落ちる」ことを前提に使う必要があるので、マルチAZやマルチリージョンなどの2重化を含め、耐障害性対策は欠かせない。

 クラウドサービスは利用した分だけ料金を支払う従量制課金が基本だ。サービスの価格は全リージョンで一律というわけではないので、うまく使い分ければコスト削減につながる。アマゾン ウェブ サービス ジャパンの小林正人技術統括本部技術推進本部本部長は「全世界にリージョンがあるのだから最も安いリージョンで計算したほうが得だ。科学技術計算を日本ではなく、海外のリージョンで実行するようなことが考えられる」と話す。