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 世の中には、社員の定着率が高い会社・低い会社が存在します。同じ会社内であっても、部署によって社員の定着率には不思議なほど差があります。人が定着する職場・しない職場の違いは何なのでしょうか。

 筆者は、人材派遣の営業職として10年ほど働いてきました。主な仕事は、スタッフの派遣を希望する企業のニーズをヒアリングし、人材を紹介することです。就業先での派遣スタッフの管理やフォローも手掛けていました。

 その中で、派遣スタッフからさまざまな相談を受けました。中でも多かったものの1つが、「今の就業先で働き続けるのは不安がある」という相談です。スタッフの切実な声を通じて、「従業員を不安にさせる環境の特徴」が見えてきました。

同じ会社でも、部署によって定着率が違うのはなぜ?
同じ会社でも、部署によって定着率が違うのはなぜ?
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 今回は、大きく4つの特徴を紹介します。派遣スタッフだけでなく、新入社員や中途社員を迎えるすべての職場にとって参考になると思います。

たかが初日、されど初日

 1つ目は、初日の受け入れ準備が十分にできていない職場です。就業初日を終えたばかりの派遣スタッフから、次のような相談がありました。

今日が就業初日でしたが、どうやら私が今日入社することを周りの社員は知らされていなかったようです。PCの初期設定もされていないままで、自分でシステム部門に問い合わせをしなくてはいけませんでした。前任者からの引き継ぎも全く進まず、明日からこの職場でやっていけるか不安です……。

 このスタッフは転職活動が長引き、3カ月ほど就業のブランクがありました。やっとの思いで新しい就職先が決まった喜びと緊張で、就業初日前夜は寝付けなかったそうです。期待と不安で胸をいっぱいにして職場に足を踏み入れた日、同僚となる人たちからの歓迎の気持ちを残念ながら感じることができませんでした。

 初日に抱く第一印象は、意外なほど後々まで残るものです。このケースのように緊張や不安を抱えながら初日を迎える方は多く、小さな出来事でも精神的に大きなダメージを受けます。それが尾を引き、ほどなくその職場を去ることになってしまうのです。結果として、定着率は低くなります。

 逆に定着率の良い企業や部署では、業務で使う備品の用意や一日の段取り、関係社員への情報共有などがあらかじめしっかりとできています。新加入のスタッフも「この職場なら長くやっていけそう」と安心した気持ちでスタートを切れます。

 「たかが初日の印象、すぐに変わるのでは」と思うかもしれませんが、長く働いてもらうためには第一印象はとても重要です。せっかくご縁があって入社した仲間です。せっかくなら、最初の一歩でつまずかせないようにフォローしましょう。