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 新しい会社で働き始めても、早期に辞めてしまう人がいます。人材派遣会社の営業職を10年ほど務めた筆者も、こうした派遣スタッフを何人も見てきました。

 「仕事や職場環境が合わなかった」という不運に見舞われる可能性は誰しもあります。しかしどんなに良い会社に入社できても、何かしらの不満を抱いて早々に退職を決意してしまう人は一定数いるものです。

 もちろん1社で長く勤めるだけが正解ではありませんが、筆者からすると「せっかく良い職場なのにもったいないな」と感じることが多々ありました。本人にとってもったいないだけでなく、せっかくの貴重なスタッフに去られてしまう職場にとってももったいないことです。

 1つの職場で長く働ける人とそうでない人には、どのような違いがあるのでしょうか。筆者はさまざまな派遣スタッフから相談を受けるうち、早期に退職する人にはある特徴があることに気づきました。それは大きく2つのタイプに整理できます。

入社後間もなく会社を去る人に共通する特徴は?
入社後間もなく会社を去る人に共通する特徴は?
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 今回は、実際の相談を基に2つのタイプを解説します。スタッフ本人だけでなく、スタッフを迎え入れる職場の方も、貴重な人材の流出を防ぐためにぜひ知っていただきたいと思います。

自分に自信がない「自滅型」

 まず多いのが、自信のなさゆえに退職を考えてしまう人です。いわば「自滅型」です。

 具体的な相談を見てみましょう。

仕事を始めてからもう3カ月たちましたが、なかなか派遣先の求めているレベルに達することができません。自分には素質がないのかもしれません。これ以上ここで働いていても派遣先に迷惑をかけてしまうだけのような気がして、退職を考えています。

 この相談のポイントは「迷惑をかけてしまうだけのような気がする」という箇所です。誰かに指摘されたわけではなく、自分だけの考えで退職しようとしています。これは自滅型の人によくある特徴です。

 もう1つよくあるのが、次のような相談です。

同じ部署で派遣スタッフとして働いているAさんはとても優秀で、仕事を完璧にこなしています。Aさんと比べると自分はスキルも低く、派遣先の期待には応えられていないのではないかと感じます。この職場で長く働く自信がありません。

 この相談も、やはり自分だけで思い悩んでいます。「Aさんと比べてスキルが低い」「派遣先の期待に応えられていない」というのは、いずれも他者から指摘されたことではありません。Aさんと比べて、自分が劣っていると感じているにすぎません。

 働いていれば、自分の力量が足りずに申し訳ない気持ちになることはあるでしょう。ただしそのとき仕事仲間がどう感じているかは、確認してみなければ分かりません。

 筆者はこのような派遣スタッフからの相談を受けると、派遣先企業の上長に次のように伝えるようにしていました。