職歴が多いと転職時に不利になるのではないかと心配する人や、その悩みに応える記事などはよく目にします。では逆に「今まで一度も転職経験がない」「1つの職場に長く勤めている」場合はどうでしょう。
人材派遣の営業職として10年ほど働いた筆者は、「長年勤務した会社からの初転職に不安を抱く人」も見てきました。心のどこかで「新しいチャレンジをしたい」と思いつつ、転職経験なしの経歴がマイナスに評価されるのを危惧して、最初の一歩を踏み出せないケースです。実際に企業側が「1社だけに長くいた人は柔軟性に欠けるのでは」と採用をためらうケースもあります。
しかし、「転職経験がないこと」は強みにもなり得ます。今回は応募する個人と採用する企業の両方の視点から、「初転職を強みにする・生かすポイント」を見ていきましょう。
意外と高い、1社に長く勤務できる人の「適応力」
「長年の勤務先を離れての初転職」に踏み切れない人の不安として、筆者が実際に見聞きした例を紹介します。40代前半で、新卒入社した現在の会社で勤続20年、転職経験はない人です。
転職自体が初めてなので、自分をどうアピールしたらいいかも分からない。企業側も20年も同じ企業に勤務していた初転職者は扱いにくいと思うのではないでしょうか。今の会社に長く勤めていて環境や仕事にも慣れているし、下手に転職しても後悔しそうでなかなか思い切れません。
このように「1社に長く勤め過ぎて他社になじめないのでは」「企業側に前職のやり方に固執すると思われ、なかなか採用されないのでは」といった不安の声をこれまでいくつも聞いてきました。しかし、実際に派遣営業として多くの派遣スタッフと接した筆者は「雇用形態を問わず1社に長く勤めた人は、むしろ新しい職場への『適応力』が高い」という印象を持っています。
同じ企業に勤務し続けることで、身に付く能力やスキルがあるからです。具体的には次の3つの力が培われるのではないかと筆者は分析しています。