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 中途採用に取り組む企業の現場には、「中途入社の人には他社での経験がある。新卒にするように手取り足取り仕事を教えてよいのだろうか。余計なお世話になってしまいそうで、接し方がよく分からない」と悩む人が少なからずいます。一方、採用された側も前職との環境の違いから、「この会社では何が正解か分からない」としばしば戸惑うものです。

(出所:日経クロステック)
(出所:日経クロステック)
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 人材派遣会社の営業職として10年ほど働いた筆者も、派遣スタッフからよくこうした相談を受けていました。例えば事務職として働いていた派遣スタッフのAさんは、任期満了に伴い派遣先が変更になりました。ところが、新旧派遣先の文化の違いに大いに困惑したといいます。

以前の派遣先・X社の場合
 以前に勤務していたX社は、ある程度「自分で考えて動く力」が求められる環境でした。就業当初のAさんは知識・経験が足りないため自ら動くことも難しく、苦労したといいます。しかし、半年ほどで環境に慣れ、契約終了時には派遣先から高い評価を得るまでに成長できました。
新しい派遣先・Y社の場合
 新たな職場のY社はチームで業務を進めることが多く、日々の細やかな情報共有が重んじられる社風でした。前職では自己裁量で働く環境に慣れていたAさんは、上長から「もっと報・連・相(報告・連絡・相談)を徹底してほしい」と頻繁に注意を受けたといいます。「こんなに細かいことまで共有が必要なのか……」と、前職との文化の違いにストレスを抱えたAさん。次第に自分の経験値にも自信を無くし、出勤に苦痛を感じるようになってしまいました。

 これは派遣スタッフの例ですが、採用形態を問わずキャリアの途中で新たに別の企業に勤務し始める人には共通の悩みではないでしょうか。同じ企業内でも「直属の上司が変わった」「部署を異動した」などの理由で、文化の違いに戸惑うことはあります。

 今回はAさんの事例のような行き違いを起こさず、他の職場でキャリアを積んだ人に新しい職場になじんでもらうにはどうしたらいいかを見ていきましょう。採用する側とされる側、双方のコミュニケーション方法にポイントがあります。