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自治体DXを実行するために必要なのは、業務知識とIT知識の両方を備えた人材だ。住民の利便性や職員の業務効率を、デジタルを活用しながら高める企画を立案。各部署を調整し、民間企業を巻き込みながら実行する、すなわちPM人材を拡充する必要がある。

 情報システムやサービスの選択肢が狭まる、競争が阻害され高いシステムを買わざるを得なくなる――。自治体DX(デジタル変革)を阻むベンダーロックインの弊害を防ぐにはどうすればいいか。

 千葉県船橋市は、情報システム部門の職員がITコンサルティング会社と連携し、原課(利用部門)の情報システム関連予算要求やベンダーの見積もりを事前に精査している。「10年前から始めて、ここ6~7年で今の形になった」。船橋市の千葉大右情報システム課課長補佐は、こう振り返る。

千葉県船橋市は情報システム課の職員が原課の情報システムの予算要求やITベンダーの見積もりを事前に精査する
千葉県船橋市は情報システム課の職員が原課の情報システムの予算要求やITベンダーの見積もりを事前に精査する
(画像出所:船橋市)
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システム要求、コンサルと精査

 情報システム関連予算に関しては情報システム課が原課の要求をまとめて予算案を提出する仕組みだ。原課が情報システムの新規導入や更改などを希望する場合、184ページに及ぶ「調達ガイドライン」に基づき、目的や費用、効果などをまとめた「情報システム等予算要求依頼書」を作成する。

 原課はベンダーから詳細な積算書も入手する必要がある。ソフトウエアやハードウエアの製品名や個数、5年間の費用のほか、作業内容、期間、体制、どのランクの技術者が何人必要かを詳細に記入してもらう必要がある。競争入札などの場合は、この積算書を同一条件で複数企業から入手しなければならない。新規システム導入の場合はネットワーク構成図も作成する。

 集めた書類を情報システム課の職員のうち9人とコンサルティング会社が精査する。原課に対してヒアリングを実施し、疑問点や修正を要求する点を書いた照会票を原課に戻す。「この作業にITベンダーのPM(プロジェクトマネジャー)は必要なく、SEだけで十分」などの厳しい指摘が並ぶ。原課はそれを基に修正し、再度提出する。

 情報システム課の精査を経ることで2021年度予算では当初原課が要求した金額の総額よりも1億円、情報システム予算を減額できた。年間150件程度を情報システム課で精査する。新規導入や金額の大きな案件はコンサル会社の支援を受ける。「コンサルと一緒に精査することで、コンサルの知見が職員にたまる」(千葉課長補佐)。