全2043文字
PR

 製造業にとって、シミュレーションという言葉は、それほど目新しいものではない。この20年ほどで、シミュレーションは研究機関や大企業だけでなく、中小企業にも広く扱いやすいツールとなった。日経ものづくりによるアンケートでは、回答者の65.8%が「シミュレーション活用は拡大している」と答えている。

 背景にあるのは、絶えず進化するコンピューターの処理能力だ。規模にもよるが、応力解析や流体解析といったツールを試すのであれば、必ずしも大きなワークステーションを用意する必要はなくなっている。クラウドから利用できるツールも登場している。

 設計の初期段階からシミュレーションの力を気軽に借りられれば、これまではできなかった検討が可能なったり、思いも寄らないアイデアが得られたり、工数を大幅に短縮したりと、新たな付加価値を製品やサービスに盛り込める。従来のものづくりの「限界」を突破するためのツールとなり得るのだ(図1)。

図1 シミュレーションで限界突破
図1 シミュレーションで限界突破
コンピューターの性能向上で、これまでにない成果を得られるようになった。(出所:日経ものづくり)
[画像のクリックで拡大表示]

より高度なシミュレーションが可能に

 シミュレーションに対するハードルが下がり手軽になったことで、より難度の高いシミュレーション課題に挑戦する企業は着実に増えている。例えば、設計条件から最適な部品形状の案を導く「トポロジー最適化」。手法そのものは30年ほど前から知られているが、最近になって製品設計に適用した事例を公表し、技術力をアピールする企業が目立っている。

 軸受大手の日本精工(NSK)は、そんな企業の1つ。2021年3月、トポロジー最適化を使い、電動車向けの軸受製品を開発したと発表した。同社がトポロジー最適化を活用するようになったのは、「(部品の)剛性を上げて変形を抑える方策には限界を感じていた」(同社担当者)という背景がある。