2022年3月16日に発生した福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7.3の地震で、震度5強を観測した宮城県白石市。市文化体育活動センター「ホワイトキューブ」で、コンサートホールの天井や照明が大規模に崩落した。けが人はいなかった。
白石市文化体育振興財団の菅原聡副主幹は「11年の東日本大震災などでの建物被害は、トレーニングルームの壁にクラックが一部生じたり、出入り口のガラスが数枚割れた程度で、コンサートホールに被害はなかった。そのため、今回の地震後にホールの様子を見た時は衝撃を受けた。天井は1年に2、3回点検を実施していて、問題はなかったのだが。復旧の見通しも全くつかない」と語る。
天井は音響を考慮したのか、三角形のボードで構成した複雑な多面体になっている。主に落下したのは壁際の天井材だ。天井の安全対策に詳しい東京大学生産技術研究所の川口健一教授は「写真を見る限り、天井材にはかなりの厚みがある。この高さから、このような仕様の天井が落下して人に直撃すれば、脳挫傷以上のけがになるレベルだ。昼間の地震でなかったことが不幸中の幸いだった。東北新幹線の橋脚に生じた損傷を見ても、白石エリアは11年と異なる強い揺れに見舞われたようだ」と指摘する。
在来の軽量鉄骨天井下地で三角形のユニットを製作し、立体的に組み合わせて天井を形づくっていたようだ。「天井全体が一体に動いている間はかなりの面剛性がある。しかし、場所によって吊り長さが異なるだろうから、長時間にわたる強い揺れではバラバラになりやすい。この施設では、吊り長さが短い外周部から落下したように見える。クリップは外れにくい仕様になっており、吊りボルトも一体となって落下しているので、吊りボルトの定着部で外れたようだ」(川口教授)