
日産「e-POWER」開発物語
目次
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「100点まであとわずか」 日産ノート、理想の走りは譲れない
第8回(最終回) さえわたる達人の妙技
新たに開発するクルマの乗り心地を判断する達人。それが「評価ドライバー」と呼ばれる存在だ。乗った瞬間にそのクルマの課題が手に取るように分かるという。日産自動車(以下、日産)の大ヒット車「ノート e-POWER」の裏にも達人はいた。そのテスト走行。彼らは加減速の瞬間に生じた小さな違和感を見逃さなかった…
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「背筋も凍る」大問題 日産ノート、試乗後に立ちはだかった壁
第7回 予期せぬ敵との戦い
数々の苦難を乗り越え、ついに最初の試作車が完成した日産自動車(以下、日産)「ノート e-POWER」。しかし、いざクルマに試乗すると、その場にいた全員が凍り付く大問題が浮上した。開発チームは課題解消に向け、その日から毎晩のように会議を重ねることになる。(本文は敬称略)
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「頼む、小さくなってくれ!」 日産ノートで崩れた希望的観測
第6回 「聖域」にメスを
日産自動車(以下、日産)が技術資産を利用して生み出した「ノート e-POWER」。開発当初は、既存のエンジン、モーターなどの流用を想定していた。しかし、車体に大型部品をどのように搭載するかといったパッケージングをいざ考え始めると、そんな想定を打ち砕く課題が噴出。部品が大きすぎて、単純な流用では車体…
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「もっと燃費を上げよ」 日産e-POWER、覚悟のエンジンフル始動
第5回 乗るまで分からない快適感
エンジンを発電専用に使い、モーター駆動で走る電動パワートレーン「e-POWER」。日産自動車(以下、日産)社内でも前例のない開発は、行き詰まりと方向転換の連続となった。エンジンの発電タイミングを制御するエネルギーマネジメント(以下、エネマネ)領域もその1つ。燃費向上のため、開発チームは覚悟を迫られ…
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「これでは世に出せない」 日産、ある違和感との激闘
第4回 幾多の声を生かして
「この動き、楽しくないですか?」──。日産自動車(以下、日産)渾身(こんしん)のシリーズハイブリッド車「ノート e-POWER」開発において、回生協調ブレーキの搭載見送りという逆風が、特有の乗り味を生み出す契機となった。アクセルペダルのみで加減速を操る「ワンペダル」感覚。実現を急ぐ開発チームの前に…
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「この動き、楽しくないですか?」 日産、開発者の逆転発想
第3回 部品削減を強みに変えて
2016年投入の日産自動車(以下、日産)「ノート e-POWER」。エンジンを発電専用に使いモーター駆動で走るシリーズハイブリッドシステムが特徴で、アクセルペダルのみで加減速を制御できる「ワンペダル」感覚が新たな乗り味として話題を呼んだ。今や他社製ハイブリッド車との差異化でも強力な武器になったワン…
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ハイブリッドとは呼ばない 「もう1つのEV」として造ったe-POWER
第2回 良い所を伸ばす戦略
今や日産自動車(以下、日産)を代表する電動化技術となった「e-POWER」。チーフ・パワートレーン・エンジニア(Chief Powertrain Engineer:CPE)の仲田直樹が率いる開発陣の前には、強敵・トヨタ自動車(以下、トヨタ)のハイブリッド車が立ち塞がっていた。同じようなものを造って…
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「ハイブリッドじゃないと売れない」 日産、営業部門の悲痛な叫び
第1回 トヨタとのエンジニアリング・バトル
今や日産自動車(以下、日産)を代表する電動化技術となった「e-POWER」。エンジンを発電のみに使うシリーズハイブリッドのシステムで、搭載したクルマの売れ行きも好調だ。だが、ハイブリッド車で後発となる日産にとって、開発は一筋縄ではいかなかった。当時パワートレーンの開発でリーダーを務めた仲田直樹がe…