女性の健康課題をテクノロジーで解決する機運が高まっている。女性(Female)と技術(Technology)を掛け合わせた造語である「フェムテック」と呼ばれる分野だ。日本では女性向けの製品やサービスを幅広くフェムテックと呼ぶことが多いが、先端技術を活用したテック色の強いフェムテックを目指す企業が現れている。こうした「フェムテック2.0」とも呼べる新たな動きは、女性が自身の状態を把握するのに役立ち、女性特有の課題解決につながるだろう。
日本ではフェムテック全体からみるとフェムテック2.0のサービスや製品の数はまだまだ限られるが、欧米ではサービスが台頭し、サプリメントなど女性向けケア製品とは別のカテゴリーとして投資家に認識されている。「日本は欧米に比べて6~8年ほど遅れている印象を持っている。今後、テック色の強い製品やサービスが増えていくことを期待している」。世界のフェムテック分野に詳しい、ベンチャーキャピタル(VC)のグローバル・ブレイン(東京・渋谷)のインベストメントグループ皆川朋子ディレクターはそう話す。
日本におけるテック色の強いフェムテックの推進や普及を目指し、皆川ディレクターは2021年3月に業界コミュニティーの「Femtech Community Japan」を立ち上げた。ベンチャー企業をはじめ大手企業やベンチャーキャピタル(VC)、大学などから300人以上の関係者が参加し、現状の課題や今後に向けた議論を交わしている。
例えば2022年2月にはフェムテック分野のデータ取得と解析を加速させる目的で、ベンチャー企業とデータサイエンティストのマッチングイベントを開催し、110人以上の参加者を集めた。「フェムテック分野のデータ活用への関心が高まりつつある。様々な分野で健康医療データ活用が注目される中、フェムテック分野でもバイタルデータの取得や活用を推進していきたい」と皆川ディレクターは意気込む。