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だ液のモニタリングで排卵日を把握

 IoTデバイスによるモニタリングが威力を発揮するのが、月経周期をより簡易に正確に把握することだ。月経周期の正確な把握は避妊や妊娠、体調変化への対応に生かせる。晩婚化などの影響で妊娠に悩むカップルが増えており、より正確に排卵日を知りたいとするニーズがある。排卵は卵巣から分泌される女性ホルモンの変動に影響される。IoTデバイスを用いて簡易に女性ホルモンの変動を把握することで排卵日を推定し、妊娠に備えてもらう。

女性が経験する事象への対応にIoTやAIが役立つ
女性が経験する事象への対応にIoTやAIが役立つ
(作成:日経クロステック)
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 ドイツに拠点を置くinneは、だ液中の女性ホルモンの変動パターンを検出するIoTデバイスを手掛けている。女性ホルモンの1種であるプロゲステロンのレベルは排卵の前後に上昇し始め、排卵の翌日にはピークに達してその後低下するとされる。デバイスでプロゲステロンを測定し、その変動パターンを解析することで、専用アプリを介して排卵日を利用者に知らせる。

 プロゲステロンはイムノアッセイと呼ぶ、免疫反応を利用して微量に含まれる物質を検出する方法で測定する。利用者は専用試験紙を口に含んでだ液を染みこませた後、IoTデバイスに試験紙をセット。試験紙に示される結果をデバイスが画像解析し、その結果を専用のアプリに記録する仕組みだという。

 女性ホルモンの値を把握するには病院で血液検査を受けるのが一般的だが、通院したタイミングの値を記録することになる。一方でIoTデバイスを用いる方法は非侵襲で、毎日モニタリングした情報を取得できる。「精度が担保されたデバイスによるモニタリングデータは、不妊治療にあたる医師にとっても診療の参考になるだろう」と不妊治療の研究と臨床に携わる川原泰医師は話す。

 また川原医師は「毎日測定するモニタリング結果のデータが大量に集まれば、女性特有の現象や症状に対応する際の参考にできるかもしれない」と語る。女性ホルモンの変動は月経前に心身が不調となる月経前症候群(PMS)や産後うつなどにも影響するとされる。PMSや産後うつを発症する人の女性ホルモンの変動パターンが分かれば、発症するリスクの高い人の識別や早期の対応につながる可能性がある。