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VISION ZEROの起源は日本

 実はVISION ZEROは、遡れば日本の「ゼロ災運動」が起源となっている。日本の労働安全衛生の歴史において、1972年の「労働安全衛生法」の成立は、労働災害の削減に大きく貢献した。翌73 年には中央労働災害防止協会(中災防)の提唱でゼロ災運動がスタート。同運動が、進化した形で欧州版のゼロ災運動とも言える「ゼロ・アクシデント・フォーラム」(Zero Accident Forum)活動に波及した。そして、2014年にドイツで開催された「第20回世界労働安全衛生会議」(World Congress on Safety and Health at Work)でVISION ZEROが初めて提唱・採択された。

 VISON ZEROは、企業や組織にとっての安全について、事故や問題が起こってから対策を考える「対応型」ではなく、事故や疾病を未然に防ぎ積極的に安全を構築する「先見型」に変革しようというマインドセットであり、現在、世界の「安全」の新潮流として広がりつつある。

2017年VISION ZEROキャンペーンスタート

 17年9月にシンガポールで開催された「第21回世界労働安全衛生会議」では、国際社会保障協会(International Social Security Association:ISSA)が、職場における労働災害や職業性疾病をゼロにすることを目指す国際的な活動としてVISION ZEROキャンペーンの開始を宣言した。前述のように、VISION ZERO は、あらゆる産業の労働現場を対象に、身体的・精神的・社会的に人が“良好な状態(ウェルビーイング)” になることを目指している。

 15年6月、ISSAの13の全予防部門が参画し、VISION ZERO予防戦略と労働災害・疾病ゼロの目標を達成するための経営者・管理者向けのガイドブックとして「7つのゴールデンルール」を作成している。災害ゼロと健康的な働き方のためのチェックリストとして110の質問項目を示したもので、前述のVISON ZEROキャンペーンとともに17年に公開された。VISION ZEROのホームページには、VISION ZEROに賛同、推進する人々が紹介されており、政府、安全機関のトップ、また世界中の多くの先進的な企業、CSO(Chief Safety Officer)がこのVISION ZEROの活動を推進していると分かる。

7つのゴールデンルール
7つのゴールデンルール
(出所:ISSA)
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 日本においては、18年11月にセーフティグローバル推進機構(IGSAP)が主催した「Safety2.0国際安全シンポジウム2018」において、当時のISSA事務総長であるHans-Horst Konkolewsky氏が日本でのVISION ZEROのローンチを宣言した。現在、世界的な大手企業を中心にグローバルで1万5000社以上がVISION ZEROキャンペーンに登録し、活動を行っている。