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 前回説明したように、VISION ZERO(VZ)は、あらゆる産業の職場や労働現場を対象に、安全(Safety)、健康(Health)、ウェルビーイング(Well-being)の3つの視点から、事故や疾病などを未然に防ぎ、人が身体的・精神的・社会的に“良好な状態で働ける環境の構築を目的としている。ただし、実際の取り組みでは、安全と健康が、まず受け入れ可能な水準になった上でなければ、ウェルビーイングの状態はとても達成できない。従って、VZの取り組みは、安全→健康→ウェルビーイングの順にスパイラルアップで取り組むことが重要である(図1)。

図1 VISION ZEROにおける、Safety、Health、Wellbeingのスパイラルアップ
図1 VISION ZEROにおける、Safety、Health、Wellbeingのスパイラルアップ
(出所:有山正彦)
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 VZの実践における災害ゼロと健康的な働き方のために経営者・管理者向けのガイドとして、国際社会保障協会(ISSA)が「7つのゴールデンルール」を示しているが、各ルールの位置付けを見てみると、人・マネジメント・技術の各要素から構成されていることが分かる。つまり、災害ゼロと健康的な働き方のためには、人・マネジメント・技術の各要素からバランスのとれた取り組みが必要であることが示されている(図2)。

図2 7つのゴールデンルールの構成要素
図2 7つのゴールデンルールの構成要素
(出所:有山正彦)
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機械安全から協調安全「Safety 2.0」へ

 7つのゴールデンルールの5番目には「機械、設備の安全」が挙げられている。従来、機械安全による安全化(リスク低減)は図られていたが、人と機械が共存する領域では、隔離などによるこれまでの保護方策が使用できないため、新たな保護方策が必要となっている。そこで提唱されているのが人と機械が協働で安全を確保する協調安全「Safety 2.0」だ。

 かつての人に依存した安全を「Safety 0.0」、隔離などの機械安全による安全を「Safety 1.0」とした場合の、新しい安全の在り方がSafety 2.0である(図3)。Safety 2.0は、Safety 0.0と同じ危険源との共存環境であるが、Safety 2.0では、人と機械が情報を共有し、機械(ロボットなど)が人の位置情報により安全側に動作させることが可能となる。

図3 Safety 0.0、Safety 1.0、Safety 2.0の違い
図3 Safety 0.0、Safety 1.0、Safety 2.0の違い
(出所:中央労働災害防止協会のイラストを基に筆者作成)
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