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 前回は、協調安全「Safety 2.0」についての活用事例など、その適用と効果について紹介した。現在、一般的に適用されている機械安全と協調安全(Safety 2.0)の違いについて改めて整理したのが表1である。

表1 機械安全と協調安全の違い
(出所:有山正彦)
表1 機械安全と協調安全の違い
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 機械安全については、「ISO 12100 (JIS B 9700):機械類の安全性-設計のための一般原則-リスクアセスメント及びリスク低減」で詳しく規定されている。機械安全では、安全を確保するための保護方策として、人と機械をガードにより隔離することが原則となっている。これに対して、協調安全では、人と機械が同じエリアに共存することも想定しており、人と機械とが(共存していても)情報共有によって事故の発生を予防・防止しようとするものである。

 安全防護および保護方策の考え方も大きく違う。機械安全では、「人は間違う」が前提となっており、人の判断や行動によるのではなく、できるだけ機械に任せるのが基本的な考えである。これに対して協調安全の考え方では、人は正しい判断をすることも想定し、安全防護に人も参加し、人・機械・環境それぞれが持つ能力やリソースを活用して安全を確保しようとする。ただし、人の間違った判断や行動に対しては、それに起因した事故を予防するなどの機能を機械に持たせることが推奨される。

 また、機械安全では、人と機械の2者の関係が主な構成要素となっているが、協調安全では、人・機械・環境の3つが構成要素となっている。これは、人も機械も、自然環境や作業環境の影響を受け、それら環境も情報共有の対象となるためである。なお、協調安全では、安全に大きな影響を与える作業環境での決まりや規制、あるいはマネジメントなどの管理的側面も環境に含むとしている。

 さらに、機械安全では、機械の設計者によって講じられるリスク低減方策として、「本質的安全設計方策」、「安全防護および追加保護方策」、「使用上の情報」の3つのステップの保護方策の実施を規定しているが、協調安全では設計者に限定せず、使用者でも現場の状況に応じた協調安全による有効な保護方策が取れるとしている。