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 元エルピーダメモリ社長の坂本幸雄氏は日本で数少ない半導体のプロ経営者だ。エルピーダの破綻から10年、ここ数年関わっていた中国・紫光集団を2021年末に離れ、フリーになった。そこで、中国半導体産業の現況、日本の半導体産業再興に向けた課題などについて、もろもろ語ってもらった。(聞き手は小柳建彦)

質問

 日本国内には中国の製造業に対する脅威論があります。坂本さんが3年前に紫光集団の誘いに応じられた時には、中国の半導体産業はあと数年で、日本はおろか世界に追いつくのでは? といった見方もありました。世界と中国の両方をよくご存じの坂本さんの目から見て、中国の半導体産業の技術的な現状は今どんな状態にありますか。あと、どれくらいで世界の先端に追いつきますか。

坂本さんの答え

 確かに積極的に投資をして追いつく努力はしていますが、何年やってもなかなか世界の先端に追いついてこないですね。

坂本幸雄(さかもと・ゆきお)氏
坂本幸雄(さかもと・ゆきお)氏
(写真:加藤康)

中国の半導体技術は世界から大きく遅れている

 ロジック半導体でいうと、世界最先端の台湾積体電路製造(TSMC)が3ナノメートルとか2ナノとかの微細加工技術を商用化し始めているのに対し、中国の中芯国際集成電路製造(SMIC)の加工技術は今、13ナノメートル。ざっと7~8年分は技術が遅れています。DRAMでいうと世界では11ナノくらいまで来ているのに、中国の長鑫存儲技術(CXMT)は17ナノくらいです。こちらも4世代は遅れています。

 紫光集団の長江存儲科技(YMTC)のNANDフラッシュメモリーは積層数96層(の3D構造)で製造しており、それは世界レベルに近いんですが、NANDフラッシュの世界大手とは作り方が違う。ロジック部分と記憶セル部分をそれぞれ別のウエハーで作って最後に貼り合わせる方式を採用しており、どうしてもコスト高になります。恐らく世界大手に比べて1.3~1.5倍くらいはコスト高なのではないでしょうか。しかも作り方が違っているためマーケットでは標準品と認められず、需要が限られます。