シャープのIT部門がここ5年間で激変している。2016年に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下となって以降、ベンダー依存からの脱却を進め、情報システムを「内製」する体制に大きく舵(かじ)を切った。エンジニアの中途採用を積極化し、IT部隊は5年で9倍に急拡大。メインフレームからの脱却を自前で完遂するなど、ベンダー顔負けの開発力を着実に身に付けてきた。知られざるシャープIT部隊の全貌に迫る。

特集
激変のシャープ、鴻海傘下で突き進む「システム内製」の覚悟
目次
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「ITベンダーが競合に」、シャープが事業会社で異例のオフショア立ち上げに乗り出す訳
激変のシャープ、鴻海傘下で突き進む「システム内製」の覚悟(4)
「今後の当社のIT戦略において、極めて重要な拠点になることは間違いない」――。シャープのIT部門を統括する柴原和年ITソリューション事業部事業部長は、2022年4月に本格始動したベトナムのオフショア拠点についてこう話す。
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マスク注文殺到でIoT家電にも影響、シャープIT部隊を襲った試練からの逆転劇
激変のシャープ、鴻海傘下で突き進む「システム内製」の覚悟(3)
組織を拡大し、ここ5年間で着々と情報システムの内製化を進めてきたシャープ。ただ、これまで全ての取り組みが「きれいな」成功ばかりではない。時にはシステムトラブルに見舞われるなど、いくつもの壁に突き当たっている。
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自社DC・脱メインフレーム・独自ソフト、シャープが仕掛ける怒濤のIT施策
激変のシャープ、鴻海傘下で突き進む「システム内製」の覚悟(2)
「IT部門はベンダーに注文を付けるだけの立場ではなく、本来は(内製開発により)自ら汗をかいて文句を言われる立場であるべきだ」――。シャープのIT部門を統括し、同部門によるシステム内製化を主導してきた柴原和年ITソリューション事業部事業部長はこう強調する。
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5年で人員9倍に、知られざるシャープIT内製部隊の威力
激変のシャープ、鴻海傘下で突き進む「システム内製」の覚悟(1)
2022年4月4日、シャープの堺本社で「とある」入退管理システムが稼働を始めた。一見すると、よく目にする入退管理の仕組みだが、同社の場合は少し事情が異なる。同システムはシャープのIT部門が全て自前で開発したからだ。