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 自社でサーバーを保有すればコストが高止まりする――。多くの人はそう懸念するだろう。しかし同社は、「システムごとに可用性のメリハリを付け、OSSと安価なサーバーを積極的に活用すれば、パブリッククラウドに持っていくよりもコストはぐっと抑えられる」(同)とそろばんをはじく。加えて同社は鴻海グループ入りしたメリットも享受できる。親会社の鴻海から安価なホワイトボックスのサーバーを大量に購入し、自社データセンターで活用しているという。

 シャープはサーバーを社内データセンターへ移行するに当たり、システムの重要度を5段階に分類。基幹システムなど止まることが許されないシステムは3重の冗長構成にして可用性を高める。一方で、一時的に止まっても業務に支障を来さないシステムは最低限の構成で安価に運用するようにしてメリハリを付けている。

 現在は、事業部門が個別に契約する一部のシステムを除けば大半のシステムが社内データセンターで運用されているという。自社データセンターで稼働する論理サーバーの台数は2022年3月時点で既に2500台を超えた。

データ連携ソフトを独自開発しコスト9割減

 シャープはこの自社データセンターとプライベートクラウドを基盤に、これまで様々なシステムを内製しコスト削減を進めてきた。

 最たる例が、2020年1月から取り組む「システム間データ連携ソフト」の刷新だ。これまでシャープは、受発注や請求データなど、社内のシステム間でデータ連携が必要となった際に、そのつど有償のデータ連携ソフトを使っていた。

 シャープのIT部門は、こうした有償ソフトの代替となるデータ連携ソフトを独自開発し、システム間の連携を全てこのソフトに一本化しようとしている。同ソフトの詳細な仕様は非公表だが、「複数のOSSを組み合わせて非常に安価に開発している」と、同プロジェクトを担当する中塚賢志ITソリューション事業部ERP推進部主任は説明する。

シャープの中塚賢志ITソリューション事業部ERP推進部主任
シャープの中塚賢志ITソリューション事業部ERP推進部主任
(写真:宮田 昌彦)
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 シャープは内製ソフトを開発する以前、8種類の有償ソフトを様々なシステム間の連携に使用しており、同ソフトを経由したデータ連携は合計で月間10億件に及んでいた。同社は移行に際し、処理の方法や頻度を見直したほか、「その連携は本当に必要なのか」を1つひとつ洗い出すことで、月間3億件まで削減。「処理件数が減れば、それだけトラブルのリスクを低減し保守・運用のコストを抑えられる」(中塚主任)。

シャープが独自開発した「データ連携ソフト」への移行イメージ
シャープが独自開発した「データ連携ソフト」への移行イメージ
(シャープへの取材を基に日経クロステック作成)
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 シャープは2020年1月から段階的に有償ソフト経由の通信を内製ソフト経由に移行しており、2022年3月時点で7種類のソフトの入れ替えを完了。最後の有償ソフトの置き換えも2022年夏をメドに完遂する計画で、全体で9割以上のコスト削減につながるという。「(内製化をする以前の)5年前までは自分がオープンソースを触ってこのような仕組みを構築するとは夢にも思っていなかった」と中塚主任は話す。