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 2022年1月に改正電子帳簿保存法(電帳法)が施行された。電子データで受領した請求書などの電子保存義務は猶予が付いたが、猶予期間はわずか2年だ。インボイス制度の導入も迫る。では企業は、どのような手順で法改正対応の作業を進めればよいのか。先行して対応を進める企業のケースが参考になる。

 サッポロビールはDX(デジタルトランスフォーメーション)や業務のペーパーレス化の流れを受け、2019年ごろから業務改善と業務の電子化を進めていた。その過程で電帳法対応も必要となったため、これらを一体として電子化プロジェクトを進め、2022年1月に電子化した。

 法改正対応以外にも業務改善効果は想像以上だった。稼働前に予測した作業時間の短縮効果は年間1900時間。稼働後約3カ月の実績は、年換算で3300時間に達した。紙の削減量も年間15万枚ほどに上る見通しだ。本社や関連施設に10年分保存している過去の書類も順次減る見込みだ。

 グループ会社にも導入を進めており、グループ会社8社を含めると年間7130時間もの作業時間短縮になるという。

 電子化以前は、紙で来た請求書などはもちろん、電子データで届いたものも印刷して紙にし、社内の担当者がハンコを押すといった承認フローを回していた。並行してITシステム上でも承認プロセスが動いており、年間で紙15万枚とそれに対応する電子処理がそれぞれ走っていた。「テレワークをしたくても、紙の書類を処理するために出社することがあった」(サッポロビールの内村マネージャー)という。