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 技術やビジネスの世界で価値を判断する重要な基準は、数字や具体的な事実だ。ぼんやりとしたイメージしかない情報は、大抵の場合、価値が低い。この原則は、技術やビジネスに関連する文章でも変わらない。具体性のある情報が詰まっている文章ほど、価値は高まる。

 文章中の情報が乏しいか否かを判断するうえで、簡単な物差しがある。文章中に使われる形容詞や副詞の数だ。例えば、述語に形容詞が多用されている場合、具体性が乏しい情報である可能性が高い。

 文章を読んでいると、「高い」「安い」「大きい」「小さい」といった形容詞表現を多用した文に出くわすことがある。ここで、何か具体的な事象や数字と比べて「高い」や「低い」と表現しているのであれば、情報には具体性がある。しかし、ただ「高い」「低い」といった表現しかなければ、その程度が判然としない。例文1を見てみよう。

<例文1>

 自動車の国内生産が減っている。その影響は極めて大きい。2018年から21年までの3年間で、日本の主要自動車メーカーの国内総生産台数が大幅に減少したのだ。

 言うまでもなく、例文1には「2018年から21年までの3年間」という部分以外に具体的な数字が書き込まれていない。国内総生産台数が大幅に減ったと表現されているものの、ここで表現された大幅がどの程度なのかもさっぱり分からない。

 自動車の国内生産が減ったという事実が主題であるにもかかわらず、その数字が明記されていないのだ。そのため、例文1の情報にはほとんど価値がない。

 形容詞表現だけで状態を示そうとした例文1を改善するために、具体的な情報を加えたものが例文2だ。

<例文2>

 自動車の国内生産量が約185万台も減少──。2018年から21年までの3年間で、日本の主要自動車メーカー8社の国内総生産台数が2割も減ったのだ。