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 レーザー光を用いた新しい測定手法として、「光コム」が注目されている。非接触かつ高速で、μmオーダーの精度で金属部品の寸法を測定できる。詳細は後述するが、わずかに周波数の異なる何種類ものレーザー光を、同軸上から測定対象に照射する仕組み。世界で初めて、XTIA(クティア、東京・品川)が産業応用に成功した技術である(図1

図1 光コムによる3D測定器
図1 光コムによる3D測定器
外観(a)と測定結果の例(b)。(出所:日経クロステック)
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* XTIAの光コム技術は、ジョン・ホール氏とテオドール・ヘンシュ氏が2005年にノーベル物理学賞を受賞した「光コム(光周波数コム)技術」を基礎としている。

三角測量の50~100倍の速度で計測

 光コムによる測距技術のおおまかな仕組みはこうだ(図2)。まず、レーザーの「光源部」から、信号光と参照光を出力する。両方とも光コムと呼ばれるレーザー光で、スペクトル幅が狭いレーザー光が多数、一定の周波数間隔で並んでいる。光コム(comb)という名称は、くし(comb)形の周波数スペクトルの様子を表したものだ。

図2 測距の仕組み
図2 測距の仕組み
光コムによる3D測定器は、大きく分けて「光源部」「干渉計」「信号処理部」の3部分から構成される。(XTIAの資料を基に日経クロステックが作成)
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 信号光と参照光を比べると、それぞれの光コムを構成するレーザー光の周波数の間隔は、わずかに異なっている。また、この信号光と参照光は、一定周期のパルスとして出力され、そのパルス周期もわずかに差がある(図3)。そんな信号光と参照光を、「干渉計」で同軸上に合流させる。すると「信号処理部」で光のうなり(光ビート)が得られる。

図3 くし形に分布するレーザー光を使う
図3 くし形に分布するレーザー光を使う
スペクトル幅が狭い多数のレーザー光が一定の周波数間隔で並んでいる。さらに、その多数のレーザー光は一定周期のパルスとして出力される。実際にXTIAの光コム技術で利用する波長は1500nm付近。赤外領域のため肉眼では見えない。(XTIAの資料を基に日経クロステックが作成)
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 信号光と参照光は、干渉計内部の「基準干渉計」と「測定干渉計」によって、2系統に分岐している。基準干渉計の役割は、その名称の通り、測定の基準となる光ビートを生むことだ。一方の測定干渉計は、測定対象に向けて照射して戻ってきた信号光を参照光と合流させ、比較対象となる光ビートを生み出す。

 測定干渉計の信号光は測定対象まで行って戻ってくるので、基準干渉計の信号光よりも長い距離を経て信号処理部に到達する。すると、2つの光ビートは異なるタイミングで生じるので、両者の間に位相差が生まれる。この位相差を基にレーザー光の飛行時間を求め、距離を算出する。

 1点の測定に要する時間は2μ秒ほど。最速で毎秒50万点のテータを測定できる。ガルバノミラーでレーザー光を走査しながら、その走査方向と直交方向に測定対象物を移動させることで、検査面の3D形状を測定できる。「レーザーを使った三角測量の50~100倍のスピードで計測できる」(XTIA)