
(写真:陶山 勉)
デジタル原則に合うよう、国全体をつくり替える――。新型コロナウイルス感染症対策で明らかになった政府のデジタル化の遅れ「デジタル敗戦」を経て発足したデジタル庁は、政府の司令塔として日本全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する役割を担った。だが発足半年で早くもほころびが見え、課題も山積みだ。デジタル敗戦を繰り返さないために、どうすればよいのか。今デジタル庁を巡り生じている課題を検証する。
デジタル原則に合うよう、国全体をつくり替える――。新型コロナウイルス感染症対策で明らかになった政府のデジタル化の遅れ「デジタル敗戦」を経て発足したデジタル庁は、政府の司令塔として日本全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する役割を担った。だが発足半年で早くもほころびが見え、課題も山積みだ。デジタル敗戦を繰り返さないために、どうすればよいのか。今デジタル庁を巡り生じている課題を検証する。
2022年4月26日、事務方トップである石倉洋子・初代デジタル監が退任し、CDO(Chief Design Officer、最高デザイン責任者)の浅沼尚氏が後任のデジタル監に就任した。デジタル庁の新体制には、2つの疑問が浮かび上がる。
自治体システム標準化に向けたデジタル庁の動きに遅れが出ている。全国約1700の地方自治体は2025年度末までに、それまで個別に運用してきた業務システムをデジタル庁が主導する標準準拠システムに移行する計画だ。
政府はデジタル社会の実現に向け、基本的な原則として「オープン・透明」を掲げる。だがデジタル庁においては、政策形成の「オープン・透明」に黄信号がともっている。
デジタル庁が運用するシステムのトラブルが相次いでいる。2021年11月から2022年4月にかけて、システムの不具合による利用者の個人情報漏洩のほか、メール誤送信による利用者のメールアドレス流出などが5件あった。