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 デジタル庁は2022年4月26日、事務方トップである石倉洋子・初代デジタル監が退任し、CDO(Chief Design Officer、最高デザイン責任者)の浅沼尚氏が後任のデジタル監に就任したと発表した。同日の記者会見で牧島かれんデジタル相はデジタル庁について「サービス提供に注力する段階になった」と述べ、浅沼デジタル監は注力領域として生活者視点でのサービスデザインとチーム作りを挙げた。だが、デジタル庁の新体制には、2つの疑問が浮かび上がる。

牧島かれんデジタル相(左)と浅沼尚デジタル監
牧島かれんデジタル相(左)と浅沼尚デジタル監
(撮影:日経クロステック)
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立ち上げ期から、サービス提供に注力する次の段階へ

 浅沼デジタル監は東芝アメリカ情報システム社などを経て三菱UFJフィナンシャル・グループ子会社のJapan Digital Design(JDD)でCXO(Chief Experience Officer、最高体験責任者)を務め、2021年9月のデジタル庁発足に伴い同庁CDOに就いた。

 民間企業でシステムデザインやサービスデザイン、デザインチーム作りなどを手掛けてきた専門性を、デジタル監として生かす。デジタル監就任に当たっては、デジタル庁が提供するサービスのサービスデザインとそのためのチーム作りに注力するとした。

 退任した石倉氏は経営戦略、経営組織、グローバル体制などの専門家として、デジタル庁の組織立ち上げから携わってきた。デジタル監交代について、牧島デジタル相は「立ち上げ期に一定のメドが付き、次の段階に入るこの時期に、サービスを提供することに注力する段階に入った」と同日の記者会見で説明した。

 石倉氏の退任を巡っては、健康問題などが退任理由と一部で報じられた。これに対し牧島デジタル相は、石倉氏は2022年1月に約1カ月間休暇を取ったものの、リモートワークで業務を行ってきたとした上で、「当初の自らの役割は果たしたので、次に引き継ぎたいと(石倉氏から退任の)意向を受けた」と話した。