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近年目覚ましい進歩を遂げている人工知能(AI)。その開発用プログラミング言語の事実上の標準となっているのが「Python」だ。この特集では、入門者向けにPythonの基礎を一気に解説する。

 さて、準備ができたところで、Pythonについて学んでいきましょう。

 Pythonを含め、プログラミングにおいて重要な要素は2つあります。それは「データ」と「処理」です。プログラマは、何らかの「データ」をプログラムで「処理」して、その結果を出したいと思っています。ですので、プログラミングにおいては、データと処理の2つについて理解することが大事なのです。

 そこでここでは、データについて学んでいきます。

 データには「種類」があります。また、複数のデータをまとめて扱う場合に、そのまとめ方の「構造」というものもあります。

 それらを順番に学んでいきましょう。

「数値」と「文字列」の記述方法

 Pythonのプログラムで扱うデータを、「値」と言ったりします。この値には、「数値」と「文字列」がよく用いられます。

 数値の場合、目的の数値をそのままコードに記述します。例えば、100という数値を出力するなら、print関数の括弧内に「100」を記述するだけです。

 ここまで使ったノートブックで、ツールバーの[+]ボタンをクリックして新規セルを追加し、そこに記述してください。以降、各コードは基本的に新規セルに記述していきます。

 実行すると、図1のように、100が出力されました。コードはきちんと動作しました。

図1●「print(100)」の実行結果
図1●「print(100)」の実行結果
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 次に、文字列の場合をやってみます。文字列では、目的の文字列を「'」(シングルクォーテーション)で囲います。パート1で登場した「こんにちは」という文字列は、「'こんにちは'」と記述していましたよね。

 なお、「'」の代わりに「"」(ダブルクォーテーション)で囲っても構いません。本稿では「'」を用います。

「変数」は値を入れる“箱”

 数値や文字列といった値は、プログラムで処理する際には、「変数」に入れて使うことが多々あります。変数とは、値を入れる“箱”のようなものです(図2)。値をそのままプログラムで扱うのではなく、一時的に変数という“箱”に入れて処理に使うのです。“箱”(変数)に入れた中身(値)を、処理の流れの中で適宜変化させていくことで、より複雑な処理を実現できます。

図2●変数の概念と使い方
図2●変数の概念と使い方
“箱”を用意してデータを代入
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 例えばゲームの得点表示を考えてみましょう。得点表示も、変数を使って管理できます。「得点」という変数を作り、その中にゲームが進行していくと増えていく「点数」(値)を入れていき、ゲームの進行中にその変数の中身(値)を画面に表示するようにします。こうすれば、得点の管理と表示が簡単に実現できるのです。

 変数を使う際は、変数に名前を付けます。変数は1つのプログラムの中で複数用意して使うことができます。1つひとつの変数を区別して管理するために、名前を付けるのです。

 変数の名前は「変数名」と言います。プログラマが自分で考えて命名します。そして、コードに変数名を書くことで、数値や文字列などの値を入れるといった処理を行います。

 変数に値を入れる書式は以下です。

 まずは変数名を記述します。どのような値を入れる変数なのかがわかりやすい名前を付けるとよいでしょう。

 変数名は原則自由に付けられますが、一部付けられない名前があります。その主なルールは以下のとおりです。ルールに反した変数名を付けると、実行時にエラーになります。