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近年目覚ましい進歩を遂げている人工知能(AI)。その開発用プログラミング言語の事実上の標準となっているのが「Python」だ。この特集では、入門者向けにPythonの基礎を一気に解説する。

 ここでは、データに対してどのように処理を施すのかを見ていきましょう。

 データに処理を施すための「関数」、条件に応じて処理の流れを制御するための文法、そして「オブジェクト」という仕組み等について解説していきます。

「関数」の基礎

 まずは、関数から説明しましょう。

 関数とは、あるまとまった処理を実行するための仕組みです。Pythonというプログラミング言語には、たくさんの関数があらかじめ用意されています。ここまで使ってきたprint関数も、関数の一種です。皆さんがよく使っているであろうExcelにも、関数が用意されていますよね。これから解説するPythonの関数も似たようなものです。

 Pythonに用意されている関数には、それぞれ名前が付けられています。そうした関数は、以下の書式で実行できます。

 「引数」とは、関数の処理の内容を細かく設定するための仕組みです。言い換えると、関数の処理に使う“材料”です。例えばprint関数なら、出力する文字列を引数に指定します(図1)。

図1●関数の概念と引数の関係。引数が(1)。(2)の「戻り値」については後述
図1●関数の概念と引数の関係。引数が(1)。(2)の「戻り値」については後述
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 関数書式では、関数名に続けてカッコを記述します。その中に、引数に指定したい値を「,」で区切って、決められた順番に並べて記述します。引数の種類と数、並び順は、関数ごとに異なります。そのため、使いたい関数があれば、どのような種類の引数がいくつあり、どの順番でどう指定すればよいのか、関数ごとに調べて使う必要があります。

 その上、関数によっては、省略可能な引数もあります。省略可能な引数を省略すると、その関数で決められた「既定値」が自動で指定されます。省略可能な引数の種類や既定値も、関数ごとに異なります。さらには、引数なしの関数もあります。

 引数を指定する方法には別のパターンもあります。引数名も一緒に指定する書式です。

 「引数名=」に続けて、引数に指定する値を記述します。言い換えると、先ほどの書式「関数名(引数1, 引数2……)」での各引数の前に「引数名=」を追加で記述するかたちになります。引数名は関数ごとに決められています。

 この書式の指定方法のメリットは、引数を決められた順以外でも並べて指定できる点です。引数名を指定しない場合、決められた順以外で引数を記述してしまうと、エラーになります。しかも、指定したい引数の前に省略する引数があれば、「,」のみを記述しなければいけません。これはわかりづらいでしょう。

 なお、関数を実行することを「関数を呼び出す」、引数を指定することを「引数を渡す」といった言い方もします。少々長くなりましたが、関数の引数の解説は以上です。