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 前回は、経営によるトップダウンではなく、既存事業の現場が主導するタイプのリスキリング事例を紹介したうえで、組織が抱える課題とリスキリングの関係、リスキリングの推進を阻む個人のメンタルモデルについて解説しました。

 現場主導のリスキリングの特長は、組織の具体的な課題、例えば「デジタル化を進め、業務の生産性や品質を高めたい」といった課題を解決するという明確な目的を持っている点です。現場のリーダーが目指す変化に対して、組織のメンバーはポジティブ、ネガティブ、様々な反応を示すでしょう。現場のリーダーはリスキリングを進めるにあたり、メンバーのメンタルモデルを適切な方向に転換し、課題解決に導かなければなりません。

 リスキリングが単なるスキル習得の手段ではなく、組織の課題解決が目的なのだとすれば、どのような考え方やプロセスによって進めることが望ましいのでしょうか。今回はリスキリング施策の具体的なプロセスについて解説します。

リスキリング推進における重要な課題

 リスキリングのプロセスを検討するうえで考慮すべき重要なポイントは「リスキリング対象者のマインドセットを把握し、改善を促すこと」です。デジタルスキル習得の機会を提供しても、対象者のマインドセット次第では十分な成果を得られないためです。「デジタルスキルを習得して業務へ生かすことはごく自然なこと」という捉え方になるようにマインドセット(意識改革)を進めることが必要です。

前回の事例におけるマインドセットと学習態度の関係
前回の事例におけるマインドセットと学習態度の関係
(出所:パーソルイノベーション)
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 リスキリングについて筆者は企業から相談を受けていますが、一部の企業は「業界内で進むDX(デジタル変革)など、状況の変化に従業員の意識が追いついていない」といった課題を感じていました。

 そうした企業は、社員が自らのリスキリングを必要と感じていない割合が高いと考えられます。ゆえに、スキル研修だけではその効果は十分得られにくく、マインドセットの把握と改善をセットで進める必要があります。

職場環境の重要性

 さらにリスキリングを組織的な課題解決の手段として捉えた場合、リスキリング対象者の直属の上司や同僚の存在は大きな影響を及ぼします。

マインドセットと組織の関係
マインドセットと組織の関係
(出所:パーソルイノベーション)
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 組織のメンバーは、組織におけるアナログ型とデジタル型それぞれの人数比率の影響を受け、いずれか多い方のマインドセットに引っ張られます。また声の大きな人、あるいは上司である管理職のマインドセットにも強く影響を受けます。

 もし本人の周りの同僚や上司のマインドセットがアナログ型であった場合、本人のマインドセットをデジタル型に変えていく難度は高まります。変わることができたとしても、アナログ型が多数派の職場では本人は居心地の悪い思いをするでしょう。

 このように職場環境が対象者に及ぼす影響の大きさから考えて、現場主導のリスキリングにおいては、スコープの中に「職場環境の変革」を入れておくことが重要です。本人を取り巻く環境を考慮したうえで、どのような状態であればリスキリングがうまく進むのかを考えます。