新型コロナウイルス禍による物流網の寸断に、ウクライナ危機をはじめとした国際情勢の変化による供給不安、そして相次ぐ自然災害による工場の操業停止……。さまざまな要因が製造業におけるサプライチェーン(供給網)の安定性を脅かしている。こうした事態に、多くの企業が在庫の考え方を見直し始めた。在庫は「悪」なのか「善」なのか、それとも「必要悪」なのか。ものづくりの現場に詳しい経営コンサルタントの古谷賢一が、在庫に対する考え方の本質を経営の目線から問い直す。
古谷 賢一(ふるたに けんいち)
ジェムコ日本経営、本部長コンサルタント、MBA(経営学修士)

「工場力強化の達人」の異名を持つ、ものづくりの現場に詳しい経営コンサルタント。大手鉄鋼メーカーの多角化事業部門にて、主に電子回路モジュールおよびコンピュータなど情報機器の開発製造事業に従事。開発・設計・製造・生産技術・品質保証・品質管理等の業務に従事し、本社より分社した当該事業会社の品質保証責任者、生産技術部門長および海外生産子会社の品質管理責任者を歴任。生産子会社・協力工場や、部材ベンダー・取引先へのものづくり指導、生産技術指導、品質指導を、国内外問わず多く手掛ける。
その後、ジェムコ日本経営に入社。経営管理、人材育成から、品質改善支援、ものづくり革新支援など幅広い分野に従事し、海外での支援実績も多い。「地に足がついた活動」をモットーに、現場に密着した、きめ細かい実践指導は顧客から高い評価を得ている。2014年日経ものづくり誌連載の『儲かる工場にするための現場力再入門〜経営直結力』の著者、ものづくり経営やものづくりの基本に関するセミナーや、雑誌への関連記事の寄稿も多数。