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 洋上風力発電は、インフラ投資の対象として新たに注目される市場だ。政府は、洋上風力発電の累積目標容量(案件形成)を2030年に10GW、40年に30G~45GWとする(図1)。一方、産業界は2030~35年までに、着床式の発電コストを8~9円/kWh、浮体式の発電コストを「国際競争力のある水準」、そして2040年までには、数万点に及ぶ構成機器・部品を含めたライフタイムにわたる調達の国内比率を60%とする目標を掲げる。これにより、2030年まで毎年1G~2GWの案件形成が実現できれば、直接投資5兆~6兆円(1MW当たり5億~6億円の10GW分に相当)による安定的な産業需要と8万~9万人の雇用創出が見込まれる。

 2050年のカーボンニュートラル実現を踏まえ、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、2030年における再生可能エネルギーの電源構成目標比率を36~38%(太陽光14~16%、風力5%、地熱1%、水力11%、バイオマス5%)とし、洋上風力の導入容量を5.7GWと想定している。

図1 2030年と2040年における、洋上風力発電のエリア別導入イメージ
図1 2030年と2040年における、洋上風力発電のエリア別導入イメージ
〔出所:「洋上風力産業ビジョン(第一次)概要」(洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会)〕
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再エネ海域利用法に基づく計画容量は最大12.1GW

 こうした中、2021年に再エネ海域利用法(海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)に基づく、洋上風力発電事業の事業者選定が始まった。2022年4月時点で、事業者選定済みが「長崎県五島市沖」「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖」「千葉県銚子市沖」の4区域で、その計画容量の合計は1.7GW。今後事業者公募に進む「促進区域」が「秋田県八峰町及び能代市沖」の1区域、「有望な区域」が7区域、「準備段階」が10区域となっている。

 表1は、事業者選定済みの上記4区域を含め、同法に基づく海域で環境影響評価手続きを実施している事業者や計画容量を一覧にしたものだ。計画容量の合計は、事業者選定済みの事業(小計1.7GW)と事業者選定前の事業(小計10.4GW)を合わせて最大12.1GWとなる。

 さらに、同法の準備段階前の区域(静岡県沖、鹿児島県沖など)でも環境影響評価手続きは始まっており、建設中の秋田港(54.6MW)や能代港(84MW)などの港湾区域における計画も合わせると、計画容量の総計は約18.5GWに上る。

表1 再エネ海域利用法に基づく各海域の進捗状況と環境影響評価手続きにおける事業計画
各海域において、2022年4月時点での環境影響評価手続きを実施中の事業と企業、計画容量(最大値)を一覧にした(出所:経済産業省や関係企業のWebサイトを基にインフラビジネスパートナーズが作成)
表1 再エネ海域利用法に基づく各海域の進捗状況と環境影響評価手続きにおける事業計画
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