2022年2月、パナソニックHDの本社がある大阪・守口市の事業所の一室に、10数人の社員が集まっていた。入社数年の若手から50代まで、年代はバラバラだ。
彼らはパナソニックグループ全体の企業文化変革を率先するメンバー。その名も「アジャイル実践塾」の1期生だ。グループのITや人事、経理などの共通部門を担う企業、パナソニック オペレーショナルエクセレンス(PEX)とその関係会社から集まった。
アジャイル実践塾とは文字通り、アジャイル手法に基づく課題解決の方法論を学び、メンバーが自ら実践して経験を積むための研修活動だ。
塾は机上の研修よりも現場での実践に重きを置く。塾生は自らの職場で直面している課題をそれぞれ持ち寄り、問題点や解決法を議論した後に自らの現場に持ち帰って解決策を実践。結果や新たな課題を再び持ち寄って改善策を練るといったサイクルを繰り返す。
同塾を主催するのはPEXアジャイルセンター。2021年10月発足のアジャイル推進組織だ。目的は「アジャイル手法に基づく組織変革を実践し、パナソニックグループ全体へ波及、拡大させること」(PEXアジャイルセンター長を務める川島秀之情報システム本部DX部部長)である。具体的にはグループ各社からのテーマの公募と取り組み実績の情報集約、グループ内のアジャイル活動に関する情報発信、グループ内企業向けの業務改善支援サービスの開発、アジャイル手法の実践や教育を担う人材育成などを手掛ける。