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パナソニックグループのデジタル変革における重点施策、「現場革新」の事業会社を率いる。8600億円の巨額買収で得たクラウド事業をテコに、自身と顧客のSCMの変革を目指す。5年越しのリストラにめどを付け、日本企業に染みついた文化や風土の刷新にも挑む。
(聞き手=浅川 直輝、玉置 亮太)
米ブルーヨンダーを中心にしたサプライチェーン管理(SCM)事業の上場準備を始めると発表しました。改めて狙いを聞かせてください。
現代のSCMソフトウエアはAI(人工知能)技術などの活用が進み、同市場の2026年までの平均成長率は年率14%と急拡大しています。様々なIT分野のクラウド移行が進む一方でSCM分野はオンプレミスの比率が高く、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)やリカーリング(継続課金)型事業の伸びしろは大きいと見ています。
この市場を攻略するには迅速な判断が必要です。そこでブルーヨンダーを中核としてSCM事業の最適な単位を定義し、その単位で経営スピードを上げるための自主独立性とパナソニックとの相乗効果の両方を実現するよう、株式上場の検討に入ることにしました。上場を通じて、成長戦略の実現に向けたR&D(研究開発)やM&A(合併・買収)への投資の強化や優秀な人材の獲得に、スピード感をもって取り組もうと考えています。