スズキは2022年5月11日、22年度通期(22年4月~23年3月)の売上高が過去最高の3兆9000億円になる見通しを発表した。車載半導体の不足が続く中、スズキは同部品の調達を改善しつつあり、販売台数(四輪車、以下同じ)は前年度からの回復を見込む。
実際、22年度の世界販売台数は前年度比7.4%増の290万8000台を計画する。21年度に「半導体不足の影響を最も大きく受けた」(スズキ専務役員の長尾正彦氏)という日本での販売が、22年度は同18.1%増の66万3000台に回復すると見込む。
同日の決算会見で、スズキ社長の鈴木俊宏氏は「半導体不足の状況は22年度全体にわたって続く」との見方を示し、その対応策について語った(図1)。具体的には、部品メーカーに対する生産台数の長期的な案内や、在庫の積み増し、汎用性のある半導体を使ったECU(電子制御ユニット)への変更などである。これらにより、計画する生産台数は「最低の台数として達成していく」(同氏)という。
22年度の営業利益は、前年度比1.8%増の1950億円を見込む(図2)。販売台数の増加や為替の円安が追い風となる一方で、原材料価格の高騰を850億円の減益要因として織り込む。足元では、パラジウム(Pd)などエンジンの触媒に使う貴金属の価格は落ち着きつつあるが、鋼材などの価格が上昇している。同社の主力市場であるインドでは、樹脂やゴムの価格も上がっているという。