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 SUBARU(スバル)は2022年5月12日、電動車両の生産拡大を目指して、国内の完成車工場の生産体制を再編すると発表した。25年を目標に電気自動車(EV)の自社生産を開始し、同社群馬製作所(群馬県太田市)の矢島工場で、ガソリン車などと混流生産する。27年以降には、エンジンと変速機を生産する大泉工場内で、EV専用工場を稼働させる計画だ(図1)。

国内の生産体制再編の概要
図1 国内の生産体制再編の概要
(出所:スバル)
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 ハイブリッド車(HEV)については25年以降に、ハイブリッド機構「次世代e-BOXER」搭載車を投入する。同車にはトヨタ自動車のハイブリッド機構「THS」を採用し、群馬製作所の本工場と矢島工場で生産する。同機構の変速機は北本工場(旧産業機器工場)で造る。こうした生産体制の再編に関して、今後5年間で2500億円の設備投資を計画する(図2)。

生産体制の再編に関する設備投資計画
図2 生産体制の再編に関する設備投資計画
(出所:スバル)
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 スバルが5月12日にオンライン開催した21年度通期(21年4月~22年3月)の連結決算会見で、同社代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)の中村知美氏が明かした。会見で中村氏は、「世界のEV市場はここ半年から1年で、大きく拡大する可能性が高まってきた。米国でもEVに対する関心は高まっている。こうした状況を受けて、EV専用工場の建設を決めた」と説明した(図3)。

中村知美氏
図3 スバル社長兼CEOの中村知美氏
(出所:オンライン会見の画面をキャプチャー)
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 大泉工場のEV専用工場は、トヨタの力を借りずにスバルが単独で建設する。同工場で生産したEVは、北米などにも輸出する。年産能力については、「小さく立ち上げて大きく育てる」(中村氏)と述べるにとどめた。米国にEV専用工場を建設することについては、「今後の検討課題」とした。

 また中村氏は、「大泉工場で生産するEVはスバルの独自開発か、トヨタとの共同開発か」という点や、「他社のEVを大泉工場で受託生産するかどうか」という点については言及しなかった。

 スバルは、30年に世界で販売する車両の40%以上を電動車(EVとHEV)にするとともに、30年代前半までに世界で販売するすべての車両に電動化技術を適用する計画だ。また5月12日には、トヨタと共同開発した新型EV「ソルテラ」を日本で発売したが、同車はトヨタが受託生産している。今回の生産体制の再編によってスバルは、本格的にEVの自社生産に乗り出す。