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2022年3月、国土交通省がその結果を公表した「令和3年度 テレワーク人口実態調査」。テレワーク実施後に感じた悪い点として、業務効率の低下や勤務時間が長くなるといった回答が過半数を占めた。こうした悪い点を克服するには時間と場所を活用して柔軟に働く工夫が欠かせない。今回はその工夫の一例としてテレワーク先進企業、アフラック生命保険における時間の有効活用ノウハウを紹介しよう。

 「出社勤務から在宅勤務に切り替えたところ社員の生産性が落ちた」。企業がテレワークを大規模に展開すると、こうした課題に直面することが多い。そのため、新型コロナウイルス感染拡大防止対策としてテレワークが普及したものの、「感染拡大が収束すれば出社勤務に戻す」といった方針を採る企業は少なくないようだ。

 しかし、テレワーク環境下で生産性を高める工夫を凝らせば、出社勤務に戻す必要はないかもしれない。テレワーク先進企業ではこうした課題を乗り越えて継続しているからだ。今回は、アフラック生命保険の経営管理部経営管理課の取り組みを紹介する。

在宅勤務の経験者も「毎日のように続けるのは勝手が違った」

 アフラック生命保険は2020年春、政府が最初の緊急事態宣言を発令したことを受けて、社員の多くが毎日のようにテレワークをするようになった。すると、同社の経営管理部経営管理課では所属社員の残業時間が前年と比べて増えるという課題に直面した。

 アフラック生命保険は2015年から在宅勤務に取り組んできたテレワーク先進企業だ。経営管理課の社員も2020年春以前、在宅勤務を経験してはいたものの、「毎日のように在宅勤務を続けるのは勝手が違った」と、高見靖貴課長代理は振り返る。高見課長代理は現在、経営管理部コーポレートガバナンス企画課に所属しているが、当時は経営管理課にいた。

 在宅勤務では自宅というプライベートな生活空間で仕事をすることになる。そこから生まれる大きな課題の1つが「プライベートと仕事の両立」だった。

「どうしたらイケてる社員になれる?」から考えてみた

 この課題を解決するため、経営管理課のメンバーは部署の中で「働く人改革」と呼ぶ施策に乗り出した。はじめの一歩がユニークだった。「仕事だけでなくプライベートも含めて、1日の時間の使い方をどう変えたらイケてる社員になれるかをみんなで考える」(高見課長代理)ところから始めたのだ。課長の提案がきっかけだったという。

 部署内のメンバー同士で意見を出し合った結果、「生産性が高い」「コミュニケーションを気軽に取れる」「公私のバランスが取れる」といったイケてる社員の理想像が見えてきた。課題解決の施策は、この3つの理想像を見定めて、講じていくことにした。高見課長代理は「部署のメンバーが自分たちで話し合って方向性を決めたことで、高い意識を持って取り組めた」と振り返る。

 このうち公私のバランスについては、「ひとり暮らしのメンバー」「家族がいるメンバー」などパターン別に24時間の使い方を検討。特に家族がいるメンバーは時間的な制約が多いことが見えてきた。「家族がいるメンバーでも、プライベートの時間を確保できるよう施策を講じた」と高見課長代理は話す。

アフラック生命保険の経営管理課が「働く人改革」の一環で作成した24時間の使い方の例
アフラック生命保険の経営管理課が「働く人改革」の一環で作成した24時間の使い方の例
(出所:アフラック生命保険)
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 アフラック生命保険の経営管理課が講じた一策が時間の使い方の見直しだ。1日のうちで各メンバーが最も集中できる1時間を「業務に集中する時間」と設定。この1時間については、「メールやビジネスチャットで他のメンバーからメッセージが届いても、緊急の用件以外はすぐに返信しなくてもよい」といったルールを設けた。

 この施策は「生産性が高い」というイケてる社員の理想像に近づくために講じた。「周囲を気にすることなく仕事に集中できる。メンバーが互いに理解・尊重しながら仕事を進められるようにもなった」と高見課長代理は効果を語る。メンバーが確保した業務に集中する時間帯として最も多かったのは「午前9時から10時まで」「午後4時から5時まで」だったという。